想像してしまう電動M5の姿 BMW i5 ツーリング 長期テスト(2) 2425kgある車重

公開 : 2025.02.23 09:45

BMWを支えてきたステーションワゴンがEVに 英国価格は約2000万円 総合600psを発揮するM60 xドライブの能力は? 最新世代の5シリーズ・ツーリングを長期テストで検証

積算9820km エレガントなツーリングの見た目

最近のBMWは、大胆なスタイリングが多い。しかし、i5 ツーリングはそこまで見慣れない姿ではないように思う。キドニーグリルは大きすぎず、プロポーションが整い、エレガントだと感じている。

グリルの外周がほんのり光る、ウェルカムライトも気に入っている。冬は日没が早いから、良く目立つ。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)

積算1万2903km ハイブリッドのM5より軽いi5

新しいBMW M5 リムジンの試乗レポートは、お読みいただけただろうか。その車重は、2435kgに達する。ステーションワゴンのツーリングでは、2550kgへ増えるという。これには、タンク9割のガソリンの重さと、ドライバーぶんの75kgも含まれているが。

高性能モデルの場合は特に、一部のメーカーは車重を公表したがらない。エンジンオイルやガソリン、ワイパーがなくても高速で走れるかのように、スペック表には乾燥重量のみが記載されることがある。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)

その点で、M5が軽くはないことを、隠すことなく公表したBMWを筆者は高く評価したい。正しい姿勢だと思う。そしてこの数字からわかることは、ハイブリッドのM5 ツーリングは、2425kgあるバッテリーEVのi5 ツーリングより、125kgも重いということ。

BMWは最善を尽くしたに違いない。間違いなく、可能な限り軽く仕上げたかったはず。

想像してしまうバッテリーEVのM5の姿

幅広い能力を1つのボディへ集約するため、M5は4.4L V8ツインターボエンジンだけでなく、駆動用モーターとバッテリーも必要になった。世界は、バッテリーEVのM5を受け入れる準備が整っていない。同時に、V8エンジンだけでも望ましくはない。

M5は世界各国で売られているが、どのように乗られているのかを考えると、充分に納得できるパッケージングだといえる。もちろん自分も、V8エンジンは大好きでもある。コスワースの、キース・ダックワース氏に負けないくらい。

BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)

一方で、i5 ツーリングと一緒に過ごす内に、電動のM5の姿を想像するようになってきた。長期テスト車は、Mモデルの一歩手前の、M60 xドライブ。ハイブリッドのM5 ツーリングより125kg軽く、最高出力は601psあり、四輪駆動だ。

恐らく、軽量化には限界があるだろう。駆動用バッテリーは81.0kWhで、動力性能を高めようとすると、これより小さい容量は選びにくい。

ルーフとボンネットをカーボンファイバー製にして、樹脂トリムもカーボン製に交換し、フロントガラスやサイドガラスを薄いものに置換。M60に載る豪華装備を省き、シートとテールゲートを手動へ割り切ったとして、2200kgほどにはなるだろうか。

この重さは、ヒョンデアイオニック5 Nに並ぶ。その運転の楽しさは、AUTOCARでも度々ご紹介している。技術が進化すれば、こちらは1t台へ切り詰めることも可能かもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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