【アストンマーティン、栄光のル・マンへ!】公道で生まれたヴァルキリーで総合優勝を目指す

公開 : 2025.02.10 06:45

アストン マーティンは、公道から生まれたV12ハイパーカー『アストン マーティン・ヴァルキリー(Valkyrie)』で2025年のル・マン24時間に復帰。1959年以来となる総合優勝を目指します。

WEC開幕戦は2月28日のカタール1812km

アストン マーティンは、公道から生まれたハイパーカー『ヴァルキリー(Valkyrie)』を基礎にしたレーシングカーで2025年のル・マン24時間に復帰。1959年以来となる総合優勝を目指す。

公道仕様のハイパーカーを基礎とする唯一のレーシングカーである『ヴァルキリー』はFIAのハイパーカー・レギュレーションに従った最初のレーシングカーで、FIA世界耐久選手権(WEC)と米国を主戦場とするIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)の両方に参戦する。

アストン マーティンはヴァルキリー(写真中央)で1959年以来のル・マン総合優勝を目指す。
アストン マーティンはヴァルキリー(写真中央)で1959年以来のル・マン総合優勝を目指す。    アストン マーティン

まず今年のWEC開幕戦となる2月28日のカタール1812kmにワークスチームのアストン マーティン『ハート・オブ・レーシングチーム』が2台のヴァルキリーを投入し、世界的レースのデビューを飾る。

ル・マンのドライバーは全員英国人

ル・マン24時間レースのアストン マーティンで最も新しいクラス優勝者である英国人ハリー・ティンクネルは、同じ英国出身で耐久レース界の新星トム・ギャンブルとともに、WECでフルシーズン、007号車のヴァルキリーのハンドルを握る。一方、姉妹車の009号車は、FIA GT世界選手権3冠のマルコ・ソーレンセン(デンマーク)とWEC・LMGT3クラス優勝者のアレックス・リベラス(スペイン)がドライバーとなる。

IMSAでは、2024年のIMSA・GTD・Pro選手権に参戦したロス・ガン(英国)と、2022年のGTDクラス優勝者のロマン・デ・アンジェリス(カナダ)が、GTPクラスでアストン マーティンチームの単独エントリーとして2・3号車のドライバーを担当。ガンとデ・アンジェリスの2人はWECにも参戦し、ル・マンには3人のドライバーが組んで参戦する。ガンがティンクネルとギャンブルとともにヴァルキリー007のハンドルを握り、6月14日~15日のレースを英国人ドライバーのみで戦うことになる。

アストン マーティン・ヴァルキリー(WEC仕様)
アストン マーティン・ヴァルキリー(WEC仕様)    アストン マーティン

ヴァルキリーファクトリーチームのレースはWEC、IMSAの両シリーズともハート・オブ・レーシングが指揮を執る。このチームは、以前はアストン マーティン・ヴァンテージGT3で両シリーズに参戦していた。

勝利へのキモとなるV12パワーユニット

このレースカーは公道車と多くの点でDNAを共有している。その心臓部は同じV12エンジンだ。ヴァルキリーはレース用に最適化したカーボンファイバー製のシャシーを用い、標準仕様で最高回転数1万1000rpm、最出力1000bhpを超えるコスワース製の自然吸気V12 6.5Lエンジンのリーンバーン版を搭載している。

信頼性と耐久性の面では、ハイパーカーのレギュレーションでパワーリミットが500kW(680bhp)であることなどを考慮すると、V12に優位性がある。当初からロードカーとして過酷な負荷に耐える頑丈さを備えているためだ。

アストン マーティン・ヴァルキリー(IMSA仕様)
アストン マーティン・ヴァルキリー(IMSA仕様)    アストン マーティン

レース用としては、燃費が特に開発時の重要ポイントだった。それほどパワーを必要としないため、エンジンは本来の性能よりも低速で運転する。レギュレーションが定めるパワーリミットよりも低いことで、チャンスが生まれるという訳だ。トルクカーブを調整し、エンジン速度を落として摩擦損失を低減し、燃費を向上させることができるのだ。

公道からサーキットへ。アストン マーティン・ヴァルキリーのル・マンでの栄光への挑戦に注目したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×