ツインモーター全開放で436ps 日産アリア・ニスモへ英国試乗 リア寄りトルクは感じにくい

公開 : 2025.02.22 19:05

日産の電動クロスオーバー、アリアにニスモ登場 最高出力はツインモーター全開放の436ps 専用サスペンションにスポーティなボディキット リア寄りのトルクを感じにくい走り 英編集部が評価

最高出力はツインモーター全開放の436ps

伸び悩むバッテリーEVを勢いづかせるため、自社のレガシーに頼るメーカーは少なくない。フォードは電動クロスオーバーにカプリの名を与えたし、ルノーは電動ハッチバックとして5(サンク)を復活させた。

日産が選んだのは、ニスモ。日産モータースポーツ・インターナショナルの略となるサブブランド名は、日本ではしばしば用いられてきたが、英国ではなぜか控えめな展開といえた。だが今回、電動クロスオーバーのアリアへ与えられることになった。

日産アリア・ニスモ(欧州仕様)
日産アリア・ニスモ(欧州仕様)

ニスモ仕様と聞くと、かなりスパイシーな走りを期待するかもしれない。しかし、ヒョンデアイオニック5のNや、キアEV6のGTと同等の変化を遂げたわけではない。日産によると、フォルクスワーゲンID.4におけるGTXのような位置付けなのだという。

英国価格は、5万6620ポンド(約1104万円)。オプションの設定はないが、価格相応のアップグレードは受けている。

ベースは、日産がe-4ORCE(イーフォース)と呼ぶ、ツインモーターのアリア。前後へ215psを発揮する駆動用モーターが載るが、通常はシステム総合での最高出力は394psへ抑えられている。だがこのニスモでは、全開放となる436psへ上昇している。

ドライブモードには、ニスモが追加された。前後のモーターのパワー分配率は、リアアクスル側を最大60%まで高めることが可能。ただし、フロント側が40%になるよう、そのぶんのパワーは絞られることになる。

硬い専用サスにスポーティなボディキット

サスペンションもニスモ仕様。スプリングとパッシブダンパー、アンチロールバーが、それぞれ引き締められている。回頭性を高めるべく、リア側がハードになるようバランスも変えられた。リアダンパーの伸び側の減衰力は、67%も強化されたという。

アルミホイールは、20インチのエンケイ社製。タイヤは、ミシュラン・パイロットスポーツEVを履く。

日産アリア・ニスモ(欧州仕様)
日産アリア・ニスモ(欧州仕様)

スタイリングでは、前後左右へエアロキットを装備。その下辺には、レッドの差し色があしらわれる。テールゲート側は、ダックテール風のスポイラーを獲得。スポーティなイメージが醸し出されている。

インテリアは、通常のアリアとそこまで大きな違いはない。それでも、レッドの差し色とニスモのロゴが随所に施され、シートはブラックのマイクロスエードで仕立てられ、気分を高めてくれる。落ち着いた雰囲気に、スポーティな要素は調和しにくいとしても。

シートの座り心地は良好。タッチモニターだけでなく、実際に押せるハードスイッチが要所に残されているのはうれしい。座面は高めだが、不自然なほどではない。

小物入れが各所にあり、荷室はこのクラスとしては広い方で、実用性は充分。全体的な製造品質の高さは、ベースのアリア e-4ORCEへ通じる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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