【タイヤの作り方が根底から変化!】ブリヂストンからミニバン、コンパクトSUV向けタイヤ、レグノGR-X IIIタイプRV登場
公開 : 2025.02.16 11:45
ブリヂストンから『レグノGR-X III タイプRV』が登場。こちらは昨年春にフルモデルチェンジし発売されたセダン向け『GR-X III』の、ミニバン、コンパクトSUV向けタイヤとなります。多くのタイヤ専門記事を執筆してきた、モータージャーナリストの斎藤聡が試乗しました。
より良いタイヤを作るためのプロセス
ブリヂストンからレグノのミニバン、コンパクトSUV専用タイヤとして、『REGNO GR-XIII TYPE RV』(レグノ・ジーアル・クロススリー・タイプアールブイ/以下タイプRV)が登場した。『レグノ』はブリヂストンのプレミアムコンフォートタイヤブランドで、昨年春にフルモデルチェンジを行いセダン用の『GR-X III』を発売しているが、タイプRVは名前のとおりそのミニバン、コンパクトSUV用となる。
特徴はENLITEN(エンライトン)と名付けられた商品設計基盤技術を採用しているところにある。基盤技術だから、材料の選定、設計からコンパウンド開発や、タイヤ形状設計まで、すべての基礎となる技術であり、それが新たに導入されたわけだ。

例えば、ポリマー(≒ゴム)の開発では、ブリヂストンの持つ分子レベルの材料解析技術に加え、これまで蓄えてきた膨大なデータベースを基に、AI解析を駆使して新配合設計や新ポリマーの開発を行っている。また、タイヤ形状設計では、実際の接地形状の可視化を実現したブリヂストン独自の技術『アルティメット・アイ』と、実走テストとタイヤシミュレーションを繰り返すことで、接地の最適化が図られている。具体的には、タイヤの軽量化が開発のテーマに置かれ、これがレグノGR-X III開発のすべての起点となっているのだ。
軽量化するためには、無駄なポリマーを省き、採用するポリマーの性能を余すことなく引き出すことが必要になる。例えば乗り心地に関わる振動の減衰も、従来はゴムの質量や柔軟性を使って減衰していたが、ゴムの振動特性を変えることでボディに伝わる振動を低減するといった技術が導入されている。
また、構造部分では、軽量化を実現するためにタイヤの内部形状を見直しており、空気を充填した時の張力分布の最適化によって均一な変形を実現。サイドウォール全体で変形しながら力を受け止める構造に変わった。つまり、タイヤの作り方が根底部分から大きく変わったということだ。
タイプRVはSUVに向けてチューニング
さて、タイプRVに話を戻そう。
タイプRVはコンパクトSUVに向けてチューニングされている。タイヤの骨格となるケース部やコンパウンドには手を入れておらず、トレッドデザインの変更にとどまっているが、これは、従来は補強によって剛性や静粛性を作り出す設計だったものを、タイヤ内圧の張力を使ってサイドウォール全体をしならせて剛性を作り出す設計に変わったことが大きく関係している。

重心の高いSUVに向けてトレッド面の左右のショルダー部のブロックを広くとり、トレッド内側のショルダーブロックに施されていたサイプ処理をひし形ディンプルに変更。これによってSUVの重心の高さからくる左右への揺られやすさを抑えながら、乗り心地を確保しているのだ。また、トレッド両サイドのブロックの大型化に伴い、主溝が4本から3本となり、左右対象デザインが非対称デザインに変更されている。
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