【スズキのゆかいなクルマたち:軽自動車編】ジムニーだけじゃない個性派 時代を先取りしすぎたパターンも

公開 : 2025.02.23 12:05

ジムニー・シリーズの長すぎる納車待ち期間が注目を集める、スズキの四輪車。その歴代ラインナップから、個性あふれるクルマたちをご紹介。スポーツモデルや新ジャンルカーなど、その顔ぶれはじつにバリエーション豊かなのです。

初代ジムニーは1970年代誕生!

スズキの主力商品はなんと言っても軽自動車。1955年にスズライトで四輪車に参入し、かつてはアルトやワゴンRといったコスパのよい実用車で市場を席巻した。いっぽうでバリエーションの豊富さも誇り、今や絶大な人気を誇るジムニーをはじめ、個性的なモデルを多数送り出している。ここでは、そんなスズキの四輪車の歴史から、印象深いモデルをピックアップして振り返る。

ジムニー(1970年〜)

軽ながら本格クロカン、という独自のジャンルを確立したジムニーは1970年誕生。ラダーフレームにリジッドサス、副変速機付きトランスミッションと、本気のオフローダーだ。エンジン排気量を拡大した仕様は海外市場で大人気を博し、日本でも1977年に797cc版のジムニー8を発売。1981年に2代目、1998年に3代目へ移行しコアなファンを獲得してきたが、4代目となる2018年デビューの現行型は、SUVブームにも乗って爆発的ヒットモデルとなった。

フロンテクーペ(1971〜1976年)

初代スズキ・ジムニー(1970〜1981年)
初代スズキ・ジムニー(1970〜1981年)    スズキ

スティングレイ・ルックを謳った3代目フロンテから派生したクーペで、ジョルジェット・ジウジアーロが描いた2ドアセダンのデザインを、社内デザイナーがアレンジして生み出したスタイリングが秀逸だ。356cc水冷2サイクル3気筒をリアに積む後輪駆動で、最初は2シーターのみ、72年に2+2が設定された。3連キャブ仕様はグロス37psを発生し、ゼロヨン19.47秒と、当時の水準では群を抜く速さを誇った。

セルボ/マイティボーイ(1977〜1990年)

フロンテクーペの実質的後継として、1977年に登場したのがセルボ。エンジンは新規格に合わせ539ccに拡大されたが、2サイクルは継承した。1982年には2代目へ移行し4サイクル化。翌年に発売された兄弟分のマイティボーイは、軽自動車では珍しいスポーティなピックアップスタイルで、スズキのマー坊と呼ばれた。1988年登場の3代目は、FFのアルトをベースに、シューティングブレーク的な4人乗りに仕立てられた。

軽では唯一のFRスポーツ『カプチーノ』

カプチーノ(1991〜1998年)

軽では唯一のFRスポーツ、カプチーノ。フロントミドシップレイアウトや、アルミとハイテン材を多用した軽量化、四輪ダブルウィッシュボーンなど、走りにこだわった設計だが、クローズドとフルオープンに加え、Tバールーフやルーフパネルレスにもなる4ウェイオープントップも楽しい。リアには、外したルーフを収納できるくらいのトランクも備える。

ワゴンR(1993年〜)

今や当たり前すぎる存在になった背高系の軽ワゴンも、初代ワゴンRのスマッシュヒットがなければ浸透しなかったかもしれない。全長と全幅をいっぱいまで使い切った規格枠内で、室内空間を稼ぐために全高を引き上げたのはまさにコロンブスの卵的発想。初期型は、運転席側1枚/助手席側2枚の変則3ドアも個性的だった。現在は6代目となるスズキの代表銘柄で、派生車種のスマイルも展開。登録車仕様も存在したが、そちらは独立してソリオとなった。

ツイン(2003〜2005年)

スズキ・カプチーノ(1991〜1998年)
スズキ・カプチーノ(1991〜1998年)    スズキ

初期のスマートのような、2シーターのシティコミューターであるツインは、軽自動車初のハイブリッドシステム搭載も話題となった。エンジンと4速ATの間に薄型モーターを挟んだパラレル式で、二輪車向けサイズの12V鉛バッテリーを荷室下に16個積むという、ハイブリッド黎明期らしい設計だった。エンジン車も用意され、5速MTと3速ATを設定。短命に終わったが、現在の技術で復活したらおもしろそうなコンセプトのクルマだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    木原寛明

    Hiroaki Kihara

    1965年生まれ。玉川大学では体育会ノリの自動車工学研究部に所属し、まだ未舗装だった峠道を走りまくった。最初の愛車(本当は父のもの)は2代目プレリュード(5MT)。次がフルチューンのランサーEXターボ。卒業してレースの世界へと足を踏み入れたものの、フォーミュラまで乗って都合3年で挫折。26歳で自動車雑誌の編集部の門を叩き、紙時代の『AUTOCAR JAPAN』を経て、気が付けばこの業界に30年以上。そろそろオーバーホールが必要なお年頃ですが頑張ります!

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