ピュア&ドラマチック ロータス340R ルノー・スポール・スパイダー(2) 軽いシャシーへハマる
公開 : 2025.03.01 17:46
実用性度外視で軽さを追求したロータス340R ケータハム・スーパーセブンの現代版が目指されたルノー・スポール・スパイダー 実は開発へ関与したAUTOCAR 英編集部が2台の魅力を再確認
もくじ
ーA610由来のサス メガーヌ・クーペ由来の4気筒
ーお目覚めが上品なスポール・スパイダー
ー軽いシャシーへピタッとハマった印象
ー絶賛に値するルノー版モダン・ケータハム
ースポール・スパイダーと340R 2台のスペック
A610由来のサス メガーヌ・クーペ由来の4気筒
ルノー・スポール・スパイダーのコンセプトは、ドライバーと自然環境との距離が近く、バイクへ乗る時のような感覚を通じて、強い一体感を与えるというもの。それは、スタイリングで見事に体現されていた。
ロー&ワイドで、優しくカーブを描く容姿は、サーキットからそのまま舞い降りたような雰囲気。グラスファイバー製ボディが、強固なアルミ製スペースフレームとサブフレームを覆っている。

ロータス340Rとは異なり、上方へ開くドアが備わる。だが、本来の欧州仕様では小さなエアロスクリーンのみ。今回のレッドの1台は英国仕様で、大きなフロントガラスと三角窓が備わる。
フロントアクスルの間には、小さな荷室がある。リアのロールバーへ被せる、簡易的なデタッチャブル・ルーフと、駐車時にキャビンを覆うトノカバーも用意されている。
サスペンションは、アルピーヌA610の部品を流用。前後ともダブルウィッシュボーン式で、可動部はボールジョイント。ロッカーアームを介して、ダンパーが伸縮する。
ベンチレーテッドディスクのブレーキも、A610譲り。タイヤはミシュラン・パイロットSXで、サイズは205/50の16インチ。結果的にボディは大きくなり、車重は930kgに達した。340Rとの走りの違いも小さくない。
エンジンは、ルノー・メガーヌ・クーペ 16vに積まれていた、1998cc 16バルブ4気筒。最高出力は152ps/6000rpmで、0-100km/h加速は6.9秒。340Rの4.5秒より明らかに遅れるものの、空力特性に優れ、最高速度は215km/hと6km/hほど高い。
お目覚めが上品なスポール・スパイダー
2台を並べると、スポール・スパイダーのワイドさに驚く。ボディの下半分がグレーに塗られる、ツートーン仕上げが標準。上半分はブルーとイエローも選択できたが、グレッグ・バーチャル氏がオーナーのこちらはレッドだ。
クラムシェルのリアカウルを持ち上げると、横向きの4気筒エンジンが姿を表す。4本のパイプがうねる排気マニフォールドと、水平に近いダンパーが、モータースポーツとの距離の近さを滲ませる。

車内側へ手を伸ばし、ドアを持ち上げる。ダンパーの力で、滑らかに高い位置へ上昇する。サイドシルは分厚いが、乗り降りは意外と容易。防水生地で仕立てられたバケットシートが、しっかり身体を保持する。製造水準は高い。
メーターパネルには、水温と油圧、回転数の3枚のメーター。速度はデジタル表示で、センターコンソール側にある。内装は至ってシンプル。アルミ製のシャシー・ブレースが露出する。
スポール・スパイダーのお目覚めは上品。ひと吠えもなく、静かにKシリーズはアイドリングを始める。ステアリングホイールは駐車場で重く、シフトレバーのゲートは狭い。
ボールジョイントのサスペンションが、低速域ではコクコクと音を立てる。速度を高めるほど、安定性が見違える。ステアリングホイールは重いままだが、ロックトゥロック2.5回転以上に切り始めは鋭敏。情報量は多くないものの、ダイレクト感が補う。
4000rpmへ引っ張っても、聞き惚れる音響にはならない。それでもフラットにトルクが発生し、連続するカーブを柔軟に駆け回れる。
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