メルセデス・ベンツGクラス EQテクノロジーへ試乗 極端なゲレンデに4モーターはピッタリ

公開 : 2025.02.26 19:05

4モーターで587ps 3.2tを感じさせない走り

パワートレインは、前後に2基づつの4モーター。システム総合での最高出力は587ps、最大トルクは118.5kg-mがうたわれる。モーター毎に個別のリダクション・ギアとローレンジ・ギアが組まれ、それぞれ1本のタイヤを受け持つ。

0-100km/h加速は4.7秒で、ダッシュ力は豪快。だが、最高速度は180km/hだ。

メルセデス・ベンツ G 580 ウィズEQテクノロジー AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック
メルセデス・ベンツ G 580 ウィズEQテクノロジー AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック

アクセルペダルの反応は良く煮詰められており、ドライブモードによる変化度は大きい。ブレーキの反応も漸進的で滑らか。回生ブレーキの強さは、ステアリングホイール裏のパドルで変更できる。

ボンネット内に実装されるG-ロア・システムは、AMG風のV8サウンドを人工的に模したもの。かなりリアルで、これがバッテリーEVだと知らなければ、ガソリンで走るGクラスだと勘違いする可能性はある。だが、最終的にはオフが良いと筆者は思ったが。

サスペンションは、コイルスプリングにアダプティブダンパーという構成で、フロントが独立懸架式、リアは再設計されたリジットアクスル。回頭性や乗り心地には重厚感を伴うものの、3.0tを軽く越える車重は感じさせない。

低速域では、路面の凹凸の影響を受けがち。シートやステアリングホイールを通じて、荒れた路面であることを感知できる。それでも、現代のピックアップトラックより洗練度は高い。パワートレインが静かなこともあり、風切り音は大きめだ。

大トルクで悪路性能は秀抜 360度ターンも可能

オフロードでの性能は、エンジンで走るGクラス以上。渡河水深は850mmと、それを凌駕する。

前後左右に独立した4モーターが、悪路では効果的。回転直後から最大トルクを利用でき、レスポンスはエンジン版より150倍も速いとか。デフロックに相当する機能を自在に切り替えられるだけでなく、タイヤ毎にロックさせたり、逆回転させることもできる。

メルセデス・ベンツ G 580 ウィズEQテクノロジー AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック
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戦車のように、その場でくるりと360度ターンすることも可能。平らな路面で、一度試してみるのは面白い。柔らかい砂地などでは、轟音とともに路面が大きくえぐられるが。

新しいG-ステアは、リアタイヤ内側の回転を抑え、外側の回転を高める機能。これにより、通常は13.6mある回転直径を縮小できる。ラリーカーの、ハンドブレーキターンとパワースライドを、同時に電気的に実行するものといえるだろう。

歩くような速度でステアリングホイールを思い切り切ると、効果的に働く。ぬかるんだヘアピンで試してみたが、驚くほど簡単に旋回してみせた。立木が入り乱れた森林や、狭い駐車道などで役立つに違いない。

悪路用のクルーズコントロールも備わる。どれも低速だが、速度は3段階から選べる。ペダルへ触れることなく、G 580が自動的にトラクションを調整し、ノシノシ進んでくれる。これらが融合した走破性は、お見事のヒトコト。車重が軽ければ、更に有能なはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 撮影

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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