【スズキのゆかいなクルマたち:普通車編】隠れた(?)実力車がズラリ! 一時代を牽引したヒットモデルも
公開 : 2025.02.24 12:05 更新 : 2025.02.25 16:37
数日で予定の数年分も受注したジムニー・ノマドや、現行モデルの最終仕様が注目を集めるスイフトスポーツなど、バリエーションは少なくても人気車率が高い最近のスズキの普通車。過去に目を向けても、意外なほど実力車揃いです。
価格以上の? 優れた走行性能を発揮するスズキの普通車
軽自動車で培ったノウハウと、海外市場やラリーをはじめとする競技の世界で磨いた技術を活かし、価格に見合わぬ優れた走行性能を発揮するスズキの普通車。熱烈なファンを集めるスイフトスポーツや、ライトクロカンブームに火をつけたエスクードはもちろんだが、現在の流行を予言したような新ジャンルカーや、日の目を見なかったが乗るとスゴいと思わされるクルマも。人気車種から隠れた名車まで、改めてその魅力に迫ってみたい。
フロンテ800(1965〜1969年)
スズキ初の登録車は、同時期の軽自動車と同じフロンテの名を与えられた。レイアウトは、車名が示唆するようにFFだ。販売面は芳しくなく、その後のスズキがしばらく軽自動車へ専念するきっかけになったと見ることもできるが、2ドアセダンスタイルのボディはなかなか流麗。デザイン性の高さだけでなく、曲面ガラスを用いた空力設計には先見性もある。785cc水冷2サイクル3気筒は、6気筒並みになめらかと評された。
カルタス(1983〜2002年)

フロンテ800以来、14年ぶりに登場したスズキの普通車。当時の提携相手だったGMとの共同開発車で、海外ではスイフトの名も用いられた。1984年にターボモデルが追加され、CMに舘ひろしを起用して話題に。1986年には、ホットモデルの1300GT-iが登場した。1988年発売の2代目は、翌年にセダンのエスティームが加わり、1992年に輸出用だったコンバーチブルを日本導入。上位モデルのカルタス・クレセントには、3ドアハッチと4ドアセダンが1995年にデビュー。翌年にワゴンも発売された。
X-90(1995〜1998年)
1993年の東京モーターショーにショーモデルとして出品され、2年後に市販化された早熟のクロスオーバー。初代エスクード3ドアのラダーフレームをベースに、2ドア2シーターのTバールーフボディをまとった。1.6Lの4WDで、やや高い地上高とクーペスタイルの組み合わせは、今や人気のSUVクーペの走りとも言えるが、当時はかなり異色の存在。実用性が低い2座ということもあり、短命に終わった。生まれるのが早すぎたクルマだ。
着実にファンの心を掴み続けている『スイフトスポーツ』
スイフト(2000年〜)
カルタスの海外仕様に用いられた車名を受け継ぐ初代スイフトは、ワゴンR+のシャシーに、軽自動車のKeiから一部流用したボディパネルを組み合わせたクロスオーバー的コンパクトカー。2003年には、専用のエンジンや足まわり、エアロパーツを装備したスイフトスポーツが追加された。2004年登場の2代目以降はオーソドックスなハッチバックとなったが、世界市場を視野に入れた走行性能を備え、スポーツも初代同様に設定。安価ながら走りの楽しいクルマとして、着実にファンの心を掴み続けている。現行モデルをベースにした次期スイフトスポーツにも、期待がふくらむところだ。
スプラッシュ(2008〜2014年)
アメリカや欧州、インドなど、世界各地の市場に適応したモデルを生産・販売しているスズキ。このスプラッシュは、そんなスズキが人気を得ているマーケットのひとつ、ハンガリーの現地法人であるマジャールスズキで生産された。欧州向けワゴンR+の後継で、スイフトをベースに小型化しながら、全高のみ拡大して広い室内空間を構築した。ボディ剛性が高く、よく動く、しなやかな足まわりをもった欧州コンパクトカーの模範のような乗り味である。
キザシ(2009〜2015年)

アメリカで発表され、全幅1.8mを超えるボディに2.4L直4を積んだDセグメントセダン。日本では受注生産車で、キザシを見たら覆面パトカーだと思うほど、一般への普及率は高くなかったが、操縦系は欧州車を思わせる重厚なもので、乗り味も引き締まった出来のいいスポーツセダンだ。2007〜2008年に公開された一連のコンセプトカーの流れを汲んだ、凄みのあるスタイリングはいま見返しても魅力的。スズキの隠れた名車の一台だ。
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