【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も

公開 : 2025.02.15 20:25  更新 : 2025.02.21 05:08

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

5008は、実質的には3008のホイールベースとリアオーバーハングを伸ばし、荷室を拡大したクルマである。プラットフォームは、同じSTLAミディアム。近い将来に登場する、多くの新型車にも使われる見込みだ。EVに主眼を置いた設計で、かなり大きいバッテリーも搭載可能だが、エンジンにも対応する。

5008でも3008でも、4つのバージョンが用意される。EVのe−5008は、バッテリーの実用容量が73kWhと98kWhの2タイプ。ハイブリッドも2タイプで、通常のものとPHEVだ。

フェードするグリルのパターンと、爪痕のようなシグネチャーライトを備えるヘッドライトは、よくできたデザインだ。しかし、LEDヘッドライトのアダプティブ機能は、機能の素早さや洗練性で最高レベルといえるものではない。
フェードするグリルのパターンと、爪痕のようなシグネチャーライトを備えるヘッドライトは、よくできたデザインだ。しかし、LEDヘッドライトのアダプティブ機能は、機能の素早さや洗練性で最高レベルといえるものではない。    JACK HARRISON

PHEVは長年おなじみの1.6L直4ターボガソリンの、150ps版がベースだが、電動コンポーネンツは新開発。トルクコンバーターATに代わり採用された7速DCTには、125psのモーターが組み込まれる。バッテリー容量は21kWhで、EV走行距離は77kmだという。

ただし、これは今年後半の発売予定で、昨年にはe−3008をテストしているので、今回はスタンダードなハイブリッドの5008を持ってきた。

使用される新型ハイブリッドシステムは、過去2年にステランティスの多くのモデルに採用されたもの。動力は主に136psの1.2L直3ターボガソリンで、かつてのPSAでも、現在のステランティスでもさんざん使われたエンジン。だが、最近になって、信頼性のネックとなっていた、エンジンオイル内を通り、早い時期に崩壊するウェットタイプのタイミングベルトの問題を解消した。最新バージョンはタイミングチェーンをする。

アシストは、6速DCTに組み込まれる21psのモーター。いわゆるマイルドハイブリッドといわれそうなメカニズムだが、モーターのみでの駆動も可能で、力は弱いがストロングハイブリッドとなっている。

スタイリングは3008に酷似しているが、実際、Bピラーより前はまったく同じだ。弟分と同じく、ディテールはよくできている。ウインドウのラバーモールは隠され、テスト車はボディカラーがシルバーなのでわかりにくいが、Dピラーにはシルバーのトリムが取り付けられる。

幾何学的デザインのホイールは、アリュールグレードが19インチ、GTグレードが20インチだが、ハイブリッドは19インチのみだ。これは、ハイブリッドが採用するトーションビーム式リアサスペンションの悪影響に対応するため。ほかのモデルは、マルチリンクを用いている。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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