【フォルクスワーゲンのベストセラー】新型ティグアンをロングドライブ!DCCプロは必ず選びたい

公開 : 2025.02.18 11:45

フォルクスワーゲン・ティグアンは2007年の初代モデル導入以来、全世界で760万台以上の販売を達成し、2019年以降は同グループ内で最も売れているベストセラーモデルです。その新型を内田俊一が、600kmほどのロングドライブに連れ出してみました。

新世代48Vマイルドハイブリッドを搭載

フォルクスワーゲンティグアンは2007年の初代モデル導入以来、全世界で760万台以上の販売を達成し、2019年以降は同グループ内で最も売れているベストセラーモデルだ。その新型を600kmほどのロングドライブテストに連れ出してみた。

今回のテスト車は『eTSIエレガンス』と呼ばれる中間のグレードだ。装備は必要にして十分で、レーンキープアシストをはじめとした安全運転支援システムは全て装着。また触感の良いマイクロフリースのシートも装備されるが、電動パワーシートはオプション。また、新型ティグアンのトピックのひとつ、『DCC(ダイナミック・シャシー・コントロール)プロ』(詳しくは後述)は装備されていない。

テスト車は『eTSIエレガンス』と呼ばれる、新型フォルクスワーゲン・ティグアンの中間グレード。
テスト車は『eTSIエレガンス』と呼ばれる、新型フォルクスワーゲン・ティグアンの中間グレード。    小林俊樹

搭載されるパワートレインはティグアン初となる1.5リッターeTSIマイルドハイブリッドシステム(FWD)だ。最大出力110kW (150ps)、最大トルク250Nmを発揮する最新世代EA211 evo2エンジンで、アクティブシリンダーマネジメント機構(ACT)が強化され、走行中4気筒のうち2気筒を頻繁に停止させることで効率性を向上。同時に走行中のエンジン停止、再始動も行い、エココースティング走行に切り替えることも可能とされた。

これにより100km 走行あたり最大0.5Lのガソリン節約に寄与しているという。また回生ブレーキによる電力を蓄える48Vリチウムイオンバッテリーと、オルタネーターとスターターの役割を果たす48V水冷式ベルトスタータージェネレーター(BSG)を組み合わせた、48Vマイルドハイブリッドシステムを初搭載。発進、加速時のトルクをアシストもする。

購入を検討するならDCCプロ付きがお勧め

そのほか詳細は別項に譲るとして、早速走り出してみよう。新型になったことで最も感じたのはエンジンの始動性だ。BSGを採用したことで非常にスムーズな始動が可能になった。また、街中や高速では積極的に気筒休止やエンジンストップするものの、ドライバーはタコメーターを見ていない限りほとんど気づくことはない。

高速での直進安定性は高く、修正舵もそれほど必要とはしないので、リラックスしたドライブを楽しむことができた。しかし、東名高速道路の山北あたりの上り坂では少々アクセルペダルを踏み込み気味にしなければならず、若干物足りなさを感じる場面もあった。

別日に試乗したDCCプロを装着する『TDI4モーションRライン』。
別日に試乗したDCCプロを装着する『TDI4モーションRライン』。    内田俊一

シートは滑りにくく座り心地は上々だ。サポート性も高く、また、ショックを上手く吸収してくれるので、長距離でも不当に疲れることはなかった。しかし、乗り心地は残念ながら決してよくは感じなかった。特にバネ下の重さが目立ちバタつく印象で、先代のRラインに近い印象だ。

別日にDCCプロを装着するTDI4モーションRラインに乗る機会があったが、eTSIエレガンスの235/55R18(タイヤはハンコック・ヴェントゥス・エヴォSUV)に対し、こちらは255/40R20(同じくピレリ・スコーピオン)にも関わらず、はるかに乗り心地は良かった。もし購入を検討するならDCCプロ付きをお勧めしたい。

このDCCプロは、ショックアブソーバーの内部のオイルを調整できるバルブがふたつ付くことで減衰力が圧縮側と伸び側のそれぞれを別に調整できるものだ。それをクルマ側のダンピングコントロールユニットで4輪それぞれの減衰力を調整。結果として乗り心地向上とともに、車両姿勢をフラットにすることでタイヤの接地性を向上させることが大きな目的だ。同時に、ドライバーの好みで15もの段階で減衰力を調整できる。

さて、使い勝手でいえば、ふたつほど気になった点を挙げておきたい。ひとつは10.25インチセンターのタッチスクリーンだ。確かに見やすいのには間違いないが、果たしてここまで大型化する必要があるのか、今回の試乗中にメリットを感じられなかった。もうひとつはシフトスイッチ。ステアリングコラム右側に生えているそれは、ダイヤル式で前側に回すとドライブ、反対に回すとリバースという、通常のATセレクターとは逆のレイアウト。これはとっさの時に間違いやすく、個人的には使いにくかった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    小林俊樹

    Toshiki Kobayashi

    1964年生まれ。1985年よりグラフィティにてカメラマン活動をスタート。10年ほど在籍し、その間にライディングスポーツ、レーシングオンなどレース専門誌、レーススポンサー、鈴鹿サーキットのオフィシャル撮影を担当。1995年にはアーガスへ入社、北畠主税氏を師事して13年ほど在籍。自動車のカタログや専門誌、ライフスタイル誌などの撮影を担当。その後2009年にフリーランスとなり、現在に至る。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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