【重さ500kg増、出力14%増は是か】新型BMW M5はヘビー級チャンピオン?電動化時代『M』の落としどころ

公開 : 2025.02.19 11:45

辻褄は合っている。あとは……

モーターによる加速の立ち上がりは強烈、そしてスロットルに対するレスポンスもいい。また一体感のあるシャシーのおかげでコーナリングへの移行も滑らか。コンポジットブレーキのおかげでストッピングパワーも十分なものだった。そして何よりドライバーが操る領域もちゃんと残されている。後輪操舵がかなり手助けしてくれている気がしないでもないが、それをほとんど感じさせないチューンは見事なので、総じてBMW Mモデルとしての体裁は保てていると思う。

だが絶えず重いのだ。この物理だけは如何ともしがたい。車重の重さはタイヤの減り、サーキットを連続走行したときのタレ、ウェットでの限界性能等々に影響するはずだが、箱根のワインディングで試した今回は絶えず『重いなぁ』と感じるだけに留まった。

ボディカラーの名称は『フローズンディープグレー』。明るい昼間だと艶消し黒に見える。
ボディカラーの名称は『フローズンディープグレー』。明るい昼間だと艶消し黒に見える。    山本佳吾

逆に先代M5を超えるという使命を与えられた作り手の立場になってみると、落としどころはココしかなかったのかな? という気もする。電動化は時代を考えれば必須で、だったらそれをエコ方向よりもパフォーマンスに多く振り分けるのは当たり前のこと。ICEとしてはV8がやっぱり譲れない。なんていう足し算を繰り返して到達した2.4トン……。

それを支えるためのMアダプティブサスペンションは実は新型M5の要ともいえる部分で、ラグジュアリーからコンペティションレベルまで自由自在に硬さを変化させられる。そのおかげで重いけれど、辻褄はちゃんと合っているのだ。あとは乗り手が受け入れられるか否かということになるのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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