【大化けするかも?】横浜『グリーン・マルチモビリティハブステーション』は単なるEVや電動キックボード交通結節点にあらず

公開 : 2025.02.21 11:05

最近、横浜みなとみらいで、多くの人が気にしているスポットがあります。トヨタ・プリウスの屋根に乗った謎のオブジェ?に驚いた方も多いでしょう。正式名称『グリーン・マルチモビリティハブステーション』を桃田健史が紹介します。

正式名称『グリーン・マルチモビリティハブステーション』

「ナニコレ?」

最近、横浜の『みなとみらいエリア』を歩いていて、またはクルマで走っていて、多くの人がふと気になるスポットがある。すぐ隣にはロールス・ロイス、その少し先にはポルシェテスラBMWなど輸入車のショールームが並ぶ地域でもある。住宅展示場に隣接していることもあり、そこに付随するカフェかと思う人もいるはずだ。

トヨタ・プリウスの屋根に謎のオブジェ? ナニコレと思った方も多いだろう。
トヨタプリウスの屋根に謎のオブジェ? ナニコレと思った方も多いだろう。    桃田健史

ここの正式名称は『グリーン・マルチモビリティハブステーション』。そう聞くと、合点がいく人もいるだろう。

なぜならば、洒落たカフェのような空間の前には、ドコモのシェアバイクや、LUUPの電動キックボードが並んでいるからだ。建物の右サイドには、歩行領域EVのトヨタ『C’walk T』も完備されている。さらに、建物の奥側にある駐車場には、トヨタ『bZ4X』、『C’pod』、日産リーフ』、『サクラ』などの電動車がカーシェアできる。

まさに、環境に優しいグリーンな多彩なモビリティが一同に集まる場所である。

しかし「確かに便利そうだけど……、こういうのって、都内とか地方とかにも最近できたみたいだけど……。理想形を狙った実証レベルでビジネスに結びつかず、結局終わっちゃうよね」。そんなイメージを持つ人もいるだろう。だが、その実態は「全国でも稀な事例であり、とても奥が深い」と感じる。

まずは、グリーン・モビリティハブステーションの基本構想を紹介しよう。ビションに掲げているのは、『水際』と『まちなか』をつなぎ、移動自体を楽しむ港町の実現だ。

実は『ちょこっとの移動がしづらい町』

『水際』とは、山下公園、赤レンガ倉庫、横浜ハンマーヘッド、よこはまコスモワールドなどを指す。

『まちなか』は横浜中華街、元町、横浜スタジアム、伊勢佐木モール、横浜ランドマークタワー、横浜美術館、さらに標高差がある港の見える丘公園などだ。

グリーン・モビリティハブステーションは、水際とまちなかをつなぎ、移動自体を楽しむ港町の実現を目指す。
グリーン・モビリティハブステーションは、水際とまちなかをつなぎ、移動自体を楽しむ港町の実現を目指す。    桃田健史

こうした観光スポットは、歩くにはちょっと遠く、タクシーに乗るほどでもなく、循環バスだと遠回りになることもあるといった位置関係にある。そのため、横浜市の観光動態 消費動向調査によれば、みなとみらいから元町・横浜中華街周辺地域での来訪者が1回の来訪で巡っている観光スポット平均数は、1.9ヵ所にとどまる。

もっと気軽に移動できれば、横浜をもっと楽しく、もっと深く感じてもらえるはずだ。そうした思いから、横浜をこよなく愛する地元企業と地域社会の皆さん、さらに日本で新たな町のあり方を模索している人たちが一緒に活動できるプロジェクトを立ち上げた。

プロジェクトの中では、アットヨコハマ社の存在が大きい。神奈川トヨタを運営するKTグループと、ウエインズトヨタ神奈川という、トヨタ車を扱う地元販売企業が共同で、横浜市都市整備局事業の施策『まちを楽しむ多彩な交通』に対する公募事業として2020年に立ち上げたもの。

アプリソフトウェアの企画運営、マーケティングデータ調査などを行っており、その一貫として、AIでの観光モデルコース作成、WEBで完結できるデジタルチケット購入、そして様々な次世代交通も検索できるルート検索を含めた、アプリ『アットヨコハマ』を社会導入してきた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×