現在のGT3へ通じる中毒性 930/968/993 難局からの脱却 クラブスポーツ・ポルシェ(2)
公開 : 2025.03.08 17:46
930型911に設定されたマイナーな選択肢 968の販売へ貢献した鮮やかな軽量化仕様 993型RSへ設定されたシリアスな簡素化オプション 3種類のクラブスポーツを、英国編集部が振り返る
もくじ
ーサーキットの走行会で愛された968 CS
ー993のRSへ設定された簡素化オプション
ーステアリングへ調和するレバーとペダル
ー現在のGT3へ通じる中毒性の強い体験
ー911カレラ 3.2 968 911 カレラRS 3台のクラブスポーツのスペック
サーキットの走行会で愛された968 CS
フロントアクスルへ荷重を移し、旋回させつつ右足を傾けると、ポルシェ968 クラブスポーツは穏やかにテールスライドを始める。ステアリングはクイックで、理想的な運転姿勢にあるドライバーへは、リアアクスルの設置感が手に取るように伝わる。
引き締められたサスペンションと比較的重いステアリング、手応えの良い6速MTのシフトレバーが相乗。M030パッケージ仕様の968 クラブスポーツの走りには、ある種の緊迫感が伴う。

感触の正確さと緻密さはポルシェ特有といえるが、911以上の筋力も求められる。サーキットの走行会で、968 クラブスポーツが愛された理由を実感する。
インテリアは、1983年登場の944と大きくは違わない。ダッシュボードはスリムで、細身のステアリングコラムが伸びている。ショールームでの訴求力を求めるように、内装のフィット感は高い。
クラブスポーツはグレートブリテン島で人気を博し、初年度の968のほぼ半分を占めたほど。1994年末には、フル装備の968を購入する英国人は殆どいなかったらしい。
ちなみに英国市場には、1994年に968 スポーツも投入されている。クラブスポーツに用意されていた快適装備のオプション、通常のシートやパワーウインドウ、エアコンなどが装備された仕様で、968より4000ポンドもお手頃だった。
993のRSへ設定された簡素化オプション
約5年間提供された968は、1万2776台。その1923台がクラブスポーツかスポーツで、ポルシェにとってはマーケティング的な発見へ繋がった。1993年には993型911が登場するが、新しい水冷時代にも特別な「クラブ」は効果的だと判断された。
993型は、911らしいスタイリングをまといつつ、アルミ製サブフレームが支えるマルチリンク式リアサスや6速MTの獲得など、大幅なアップデートを受けていた。販売は程なくして安定したが、更に加勢するために登場したのが、1995年のカレラRSだ。

993型911 ターボより数か月早い投入で、911 カレラ2より8750ポンド高かったが、上昇率は先代の964型より抑えられていた。これを一層サーキット志向に仕上げることができたのが、装備を簡素化するオプション、M003「クラブスポーツ」パッケージだ。
911 RSの販売数は1014台で、想定していた1200台には届かなかったものの、GT3やGT4レースのホモロゲーション取得には充分な数が提供された。ボディはシーム溶接され、ボンネットはアルミ製へ、ウインドウは薄いガラスへ置換されていた。
電動の快適装備の他、リアシートと防音材は省略。ウオッシャー液のタンクは6.5Lから1.2Lへ縮小された。ホイールは18インチで、タイヤは前が225/40、後ろが265/35のピレリPゼロを履きつつ、911 カレラ2から100kgのダイエットを実現している。
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