フィアット500とパンダが生まれ変わる ブランド全面刷新で「大型車」導入も 5年計画の全体像

公開 : 2025.02.18 18:05

フィアットは2030年までに「500」と「パンダ」の新世代モデルを発売する。さらにはCセグメントの「SUV」や「ファストバック」など、従来より大型のモデルも導入予定だ。この記事では今後の製品計画を概説する。

量産化が決定した新型車

フィアットは、今後5年間で小型車専門メーカーとしての歴史から脱却し、大型車にも進出する計画である。また、500とパンダのまったく新しいモデルを導入し、新ラインナップの基盤とする。

過去10年間の大半で低迷し、旧式化したモデルラインナップが安全規制によって徐々に縮小していく中、フィアットは多数の新型車を開発中だ。

フィアット・グランデ・パンダ
フィアット・グランデ・パンダ

ステランティスの一員となったことで、新型車に必要なプラットフォームや部品は手に入れている。

そして、昨年コンセプトカーとして公開された2台の大型Cセグメント車が、500、600、パンダ、グランデ・パンダのラインナップに加わる。これらのニューモデルはすべて量産化が確定している。

次のパンダと500

パンダと500は、今世紀に入ってからほとんどの期間、欧州でフィアットの主力車種として活躍してきた。しかし、両車とも旧式のアーキテクチャーのまま、老朽化が進んでいた。

昨年、ついに500の生産が終了した。2020年発売のEVの500e(機械的には無関係)と並んで販売されていたが、1つの時代が終わりを告げた。

フィアット・パンダおよび500
フィアット・パンダおよび500

現行のパンダは、フィアット社内で「パンディーナ」という愛称で呼ばれており、一部の市場では販売が継続されている。可能な限りアップデートを繰り返し、2030年まで販売が続けられる予定である。

しかし、両車の後継車はすでに決まっている。いずれもステランティスの小型車向けSTLAシティ・プラットフォームを使用し、マイルドハイブリッドおよびEVが発売される予定だ。

このプラットフォームは当初、EV専用として500eで導入されたが、現在はマイルドハイブリッド駆動系にも対応できるよう改良が進められている。これを基盤として、500イブリダ(ハイブリッド)が今年末に登場し、フィアットのイタリア・ミラフィオリ工場でEVモデルとともに生産されることになる。

500のEVおよびハイブリッド車はいずれも2029年に生産終了となり、ミラフィオリ工場では後継車の生産に切り替わる。2030年にはパンダの後継車が、同じく2種類のパワートレインとともに、イタリアのポミリアーノ工場で生産開始される。したがって、STLAシティは、2つの工場で2つのフィアットモデル、2つのパワートレインを支えることになる。

フィアットのCEOであるオリビエ・フランソワ氏はAUTOCARに対し、次期型500のデザインは進化を遂げるが、パンダにはより大きな変更が加えられると語った。

「後継車(パンダ)のデザインは、80年代の初代パンダに少し近づくのではないかと期待している」とフランソワ氏は言う。また、グランデ・パンダと共通点のあるデザインとなるようだ。

「2台を並べて見ると、母熊と子熊のように見えるだろう。とても可愛らしいはずだ。グランデ・パンダの小型版ではなく、視覚的なつながりがあり、同じルーツと象徴的なシルエットを持つことになる」

既存ラインナップの多くが廃止となったことで、フィアットは再構成を急いでいる。フランソワ氏は、昨夏欧州で施行されたGSR2安全規制により、500X、ティーポ、500といった「人気車種」が生産終了となったことについて「つらい」決断だったと語った。

「厳しい状況だったが、乗り越えることができた」とフランソワ氏は言う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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