フィアット500とパンダが生まれ変わる ブランド全面刷新で「大型車」導入も 5年計画の全体像

公開 : 2025.02.18 18:05

大型化するフィアット

昨年2月のジュネーブ・モーターショーの前夜、フィアットは5台の新型コンセプトカーを発表した。

この5台のうち、「シティカー」コンセプトはグランデ・パンダとなり、「ピックアップ」コンセプトは世界的な人気ピックアップトラック、ストラーダの後継車となる。キャンピングカーも披露された。

フィアット・ファストバック・コンセプト
フィアット・ファストバック・コンセプト

欧州のフィアットにとって最も重要度が高いのは、「SUV」と「ファストバック」のコンセプトで、いずれも2027年までに発売予定である。グランデ・パンダと同じスタイリングで、パンダファミリーの一部と見なされている。しかし、量産車にはパンダの名称は使用されず、またグランデ・パンダの単なる大型版でもない。

この2つの新型車は、ライバル車に対するコスト優位性を確保するために、グランデ・パンダと同じスマートカー・プラットフォームをベースに開発される。ハイブリッド車とEVの両方が導入される予定だ。

「SUV」はライバルのダチア・ビッグスターのような中型SUVとなり、欧州での成功が最も期待される1台だ。

「ファストバック」は、フォルクスワーゲン・ゴルフと同クラスのハッチバック、ティーポの間接的な後継車にあたる。フィアットはグローバル市場での成功を期待しているが、外観上の嗜好性から、やはり欧州市場が重点となるだろう。

CEOのフランソワ氏は、他のステランティスブランド、特にシトロエンとの重複を避けるために、フィアット車の全長は4.5mを超えないという「自己制限」ルールを課していると述べた。

「Cセグメントに参入する際には、まったく異なる姿勢で臨むことになる。どちらが良いか悪いかではなく、イタリアン・スマイルと我々のカラーで勝負する」

フランソワ氏によると、ステランティス内では経営幹部からも「これほど多くのブランドと、これほど多くのモデルが果たして必要なのか」という疑問が投げかけられているという。しかし、同氏は「お互いを補完し合うものが必要であり、パズルを完成させ、あらゆるスペースを埋める必要がある」と力を込める。

同氏が語ったところによると、フィアットはCセグメントよりも上位には進出しないようだ。例えば、シトロエンC5エアクロスのようなサイズのモデルを生産することになれば、部品共有の面ではステランティス内に「良いシナジー」をもたらすが、モデル同士が競合してしまうため、「うまく補完し合えない」という。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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