新型フォルクスワーゲン「ID.2 X」 9月発表へ 低価格のコンパクト電動クロスオーバー

公開 : 2025.02.19 18:05

フォルクスワーゲンは9月のミュンヘン・モーターショーで新型EV「ID.2 X」を発表する予定だ。以前から導入が計画されていたが、今回初めて車名が明らかになった。

ID.2のクロスオーバー版

フォルクスワーゲンは、9月開催のミュンヘン・モーターショーで、Bセグメントの電動クロスオーバー車「ID.2 X」を発表する。

今年後半に発売予定のID.2の兄弟車であり、事実上、Tクロスの後継EVとなる。

以前公開された「ID.2 X」の予告画像
以前公開された「ID.2 X」の予告画像    フォルクスワーゲン

ID.2と同じく、MEBプラットフォームの短縮版をベースとする。フロントアクスルに1基のモーターが搭載され、最高出力226psを発生。バッテリーは38kWhと56kWhの2種類から選択でき、後者では航続距離は約450kmとなる。

フォルクスワーゲンは以前、最大125kWで充電でき、10~80%の充電を20分で完了すると発表している。

また、ID.2 Xはコストを抑えた低価格EVとなる。ハッチバックのID.2は、現在のポロよりわずかに高い2万2000ポンド(約4420万円)から販売される予定であるため、ID.2 Xは2万5000ポンド(約480万円)前後で発売されることになるだろう。

フォルクスワーゲンのブランドCEOであるトーマス・シェーファー氏は、ソーシャルメディアへの投稿で新型車の車名が「ID.2 X」となり、ミュンヘンでデビューすることを明らかにした。

生産はスペインのバルセロナ近郊に新設される工場で行われる予定だ。同工場では、フォルクスワーゲン・グループが今後発売するID.2、クプラ・ラヴァル、スコダ・エピックもともに生産されることになる。

収益の下支えに

フォルクスワーゲンのデザイン責任者であるアンドレアス・ミント氏は以前、ID.2 Xを「安全で自信に満ち、大胆な」デザインであり、「ID.2allコンセプトのようにシンプル」と表現している。

確かに、予告画像ではID.2との類似性は明らかであるが、車高が高く、より直立したシルエットで、大型のホイールアーチ、Cピラーに独特の通気口風のモチーフ(市販車ではガラスになる可能性もある)、そしてリアスポイラーを備えている。現在のID.4およびID.5との間には、視覚的なつながりは少ない。ミント氏は、まったく新しいブランドイメージを打ち出そうとしている。

フォルクスワーゲンID.2allコンセプトのインテリア
フォルクスワーゲンID.2allコンセプトのインテリア

全長は約4.1m、ホイールベースは2600mmで、ID.2と同じく490L以上のトランクスペースを備える。トランク床下には、充電ケーブルや貴重品を収納できる50Lのロック可能なボックスが搭載されることは間違いない。

インテリアもID.2とほぼ同じで、12.9インチのインフォテインメント・ディスプレイと10.9インチのデジタルドライバーディスプレイが搭載される見込みだ。

こうした新しいEVシリーズの展開は、利益と販売台数が大幅に落ち込み、欧州各地で工場の閉鎖と大規模な人員削減を計画しているフォルクスワーゲン・グループにとって、安定化の要となる。

2024年、主に高級車の世界的な需要低迷と中国での厳しい市場環境を主な要因として、グループ全体の出荷台数はで前年比2.3%減となった。

この落ち込みは、アウディベントレーポルシェで特に深刻だった。一方、量販志向のセアト、クプラは7.5%の売上増を記録し、スコダは6.9%の成長を達成した。これは、低価格車の重要性の高まりを浮き彫りにしている。

一方、フォルクスワーゲンは3月初旬に、Up!の後継となる小型のEVコンセプトを発表する予定である。「ID.Every1」と名付けられたこのコンセプトは、量産時にはID.1と呼ばれる予定で、フィアット・グランデ・パンダのライバル車となる。2027年に、ベース価格1万7000ポンド(約330万円)前後で発売される予定である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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