泥の中もスイスイ走る スバルMV(ブラット)の活躍、1982年の輸入オフロード車テストより 歴史アーカイブ
公開 : 2025.02.20 07:05
どの「輸入オフロード車」が最も優れているのか。1982年冬、AUTOCAR英国編集部は泥だらけの農場に6台のオフロード車を集め、その性能を確かめた。編集部の一番のお気に入りはスバルMVであった。
冬の農場でオフロードテスト 43年前の記事を振り返る
オフロード車について書くと、たいていはオフロードコースでの遊びの話になる。しかし、四輪駆動車は自動車愛好家のおもちゃではない。多くの人々にとって、日常生活や仕事に欠かせない必需品なのである。
その代表格は農家だ。英国の農場は第二次世界大戦中に急速に機械化され、平和が戻ると、農作業用車両として国産のランドローバーが選ばれるようになった。そして、その後数十年にわたってランドローバーが市場を独占し続けた。

しかし、1970年代後半になると、海外から続々と入ってきた多種多様な四輪駆動車に押され気味となった。そこで、1982年、AUTOCAR英国編集部はケント州の農場に最も重要な輸入車6台を集め、それぞれの特徴を確かめた。
静的テストでは、羊、子牛、干し草のロール、肥料袋などを積み込み、動的テストでは、積載した家畜用トレーラーを牽引し、雪と氷に覆われたぬかるんだ耕作地を横断し、急勾配の曲がりくねった道を走った。
急勾配のぬかるんだ丘を登るというテストも予定されていたが、ゲート周辺のぬかるみがひどく、6台の四輪駆動車はどれもスタート地点までたどり着くことができなかった。ちなみに、農家の審査員たちは、ランドローバーもそこで動けなくなっただろうと確信していた。
当初の予想通り、スズキの小さなLJ80(またはジムニー)は、わずか225kgの積載量しかなく、子牛3頭、羊2匹、あるいは干し草4束(テールゲートとの格闘の末)しか積めなかった。
しかし、LJ80は「オフロード走行能力が非常に高いことから、広大な農場や敷地内のあらゆる場所に素早くアクセスできる、経済的で低コストな手段として理想的かもしれない。797ccの4気筒エンジンは41psしか出ず、ちょっとした移動には十分だが、ハードな作業にはやや不向きだ」と評価された。
燃費の良さも長所であり、当時の新車価格はわずか3799ポンド(現在の貨幣価値で1万3290ポンド/約260万円)だった。
ダイハツF20(またはタフト)もそれほど大きくはないが、積載量が385kgとかなり多く、運搬力は高い。ただし、「洗練されているとは言えず、あまり楽しいクルマではない」ものの、「車内は農業に向いている」という評価であった。新車価格は5721ポンド(2万15ポンド/約380万円)と少し高いが。
「特に刺激はないが、雪の積もった丘の上から羊を救い出すために駆り出されるようなクルマとしては十分すぎる性能だ」と当時のAUTOCAR英国編集部は結論づけた。
ジープ・ラレード(CJ-7)は、まさに玉石混交の1台だった。「農場の環境にはよく対応しており、我々が用意したテストフィールドを軽蔑するように余裕で走り抜け、馬鹿げた傾斜を遊び半分で飛び越えていた」
「優れた牽引車の1つであることがわかり、またオートマチック・トランスミッションにより、間違いなく最も運転しやすいクルマであった」
「急勾配の下の油っぽい泥の中で発進する場合のみ、期待外れであった。しかし、荷台が比較的小さいという理由から、農場では不利である」
また、牽引装置を使用するためには、背面のスペアホイールを取り外す必要があった。
それでも、8499ポンド(2万9735ポンド/約570万円)という価格を考慮すれば、「ランドローバーよりも可愛らしく、レンジローバーほど大型でも高級でもないものを求める人にとっては検討に値する」とのことだ。
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