ハイテクディスプレイで車内の快適性を高めることはできるか コンチネンタルが次世代コックピットを提案

公開 : 2025.02.21 18:45

コンチネンタルは高級クリスタルを使用した「エモーショナル・コックピット」と、電子書籍リーダーの技術を応用した「Eインク・ディスプレイ」を発表した。デザイン性やカスタマイズ性の高さをアピールしている。

高級クリスタルや電子書籍リーダーの技術を応用

米ラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)2025では、クルマのインテリアが今後、いかに急激に変化する可能性があるか、そしてその変化はそう遠くない将来に起こるかもしれないということが示された。

コンチネンタルは、同社のハイテク電子機器と、オーストリアのスワロフスキー・モビリティ社の高級カットガラスであるスワロフスキー・クリスタルで縁取られたディスプレイを組み合わせた「エモーショナル・コックピット」コンセプトを披露した。

電子ペーパー技術を使用したEインク・ディスプレイ
電子ペーパー技術を使用したEインク・ディスプレイ    コンチネンタル

ダッシュボード中央に浮かんでいるように見える12.3インチのTFTディスプレイは、透明なクリスタルガラスの表面の下に設置されており、運転手と助手席乗員の両方が操作できる。

TFTディスプレイには、バックライトを制御するFALD(フルアレイ・ローカルディミング)技術が採用されている。FALDはLEDテレビにも使用されており、LEDバックライトをゾーンに複数の分割し、特定のエリア(「ローカル」という名称はここから来ている)を調光できる技術だ。

明るいエリアのLEDは明るくし、暗いエリアのLEDは暗くすることで、より鮮明な画像を作り出すことができる。

ダッシュボードには、AIアシスタントや、天気や位置情報などを表示する小さな「ウィジェット・クリスタル」がある。

3.5インチのウィジェット・クリスタルは先進的なマイクロLED技術を搭載している。これは非常に強力なものだが、コストが非常に高いため、まだ主流の家庭用テレビには普及していない。

ディスプレイのクリスタルケースは、中に画像が浮かんでいるような印象を与える。コンチネンタルは、この製品には大きなビジネスチャンスがあると考えている。

同社の市場調査によると、エンドユーザーと自動車メーカーはどちらも、クルマに抱く感情的な愛着をより重視するようになっているという。

紙のような反射を実現

これを念頭に、コンチネンタルはバックライトLEDディスプレイの代わりに電子ペーパー技術を採用したEインク・ディスプレイも発表している。電子ペーパーは米Eインク(E Ink)社によって開発された技術で、Kindleなどのタブレットリーダーで紙の視認性に近づけるために使用されている。

コンチネンタルは同技術を、ダッシュボードの幅いっぱいに広がる、幅1.3m、高さ4cmのEインク・プリズムディスプレイに採用した。初期のプロトタイプは白黒だが、今後フルカラー化する計画である。

このディスプレイは、車内のデザイン性を高めること、パーソナライズを可能にすること、クルマの運転に必要な情報を提供することを目的としている。

CESで展示されたディスプレイは、画像を切り替える際にのみわずかな電力を消費する。

電子書籍リーダーと同様に、LEDスクリーンなどのバックライトに頼らず、紙のように光を反射する。

そのため、電力を消費することなく画像、グラフィック、テキストを常時表示することができるが、暗い場所では照明が必要になる。

記事に関わった人々

  • ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    英国編集部テクニカル・ディレクター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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