5銘柄で兄弟車 BMCファリーナ・シリーズ UK版中古車ガイド(1) イタリア・ボディの英製サルーン

公開 : 2025.03.15 17:45

英国のインテリアにイタリアンなボディ

1961年にアップデートされ、滑らかなボルグワーナー社製ATが登場。同じタイミングで、1622ccエンジンも追加されている。またホイールベースが延長され、前後のトレッドも拡大。サスペンション・スプリングは引き締められ、アンチロールバーも得ている。

その後、BMCは前輪駆動モデルへ注力。モーリスミニ・マイナーが人気を博す。とはいえ、フロントエンジン・リアドライブで高めのボディを背負ったサルーンの需要は一定数あり、生産は1971年まで続けられた。

BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)
BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

オーストラリアでは、1962年に6気筒エンジンを積んだ、オースチン・フリーウェイとモーリス・フリーウェイ、ウーズレー24/80が登場。1965年まで生産されている。アルゼンチンでも、現地の冷蔵庫メーカー、サイアム社によってライセンス生産された。

それぞれのブランドに合わせてインテリアは仕立てられ、ふんだんなウッドやクロス、レザーなどで、当時のBMCの魅力が醸し出されている。イタリアンなスタイリングとのマリアージュも好ましい。

重心の位置は高いものの、乗り心地に優れ運転は楽しい。アップデート後のモデルはトレッドが広がり、強化されたサスペンションのおかげで、安定性も増している。

オーナーの意見を聞いてみる

「BMCのファリーナ・シリーズは、14歳の頃から自分の一部でした」。と話すのは、今回のウーズレー15/60のオーナー、ジェラルド・フォスター氏だ。

「当時ニュージーランドに住んでおり、父はアーモンド・グリーンのライレー4/72を所有していました。1980年に自分が初めて買ったクルマも、4/72なんです。今は兄が世話をしてくれていますが」

BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)
BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

「姉たちもライレーの他に、オースチン・ケンブリッジ MkIIやモーリス・オックスフォードに乗っていたんですよ。このクルマは、自分では初めてのウーズレー。12年前に散歩していて発見し、オーナーと仲良くなり、2年前に譲ってもらっています」

「長い間ガレージ保管されていて、走行距離は10万7000kmと、年式を考えれば驚くほど短いんです。すべてがオリジナルで、初期の仕様が可能な限り保たれています」

「運転しやすく快適ですね。大きなサンバイザーは、新車時からのもののようです。最近は忙しくて余り乗れていませんが、リタイア後はたっぷり時間を割きたいですね」

英国で掘り出し物を発見

MGマグネット MkIII(英国仕様)

登録:1960年式 走行:6万9200km  価格:1万750ポンド(約209万円)

生産数の少なかった、MGマグネット MkIII。初期型で、1960年1月にロンドンのディーラーで販売されている。慣性リール式のシートベルトと、ステンレス製マフラーを除いて、ラジオモービル社製のステレオまで基本的にオリジナル。

MGマグネット MkIII(1960年式/英国仕様)
MGマグネット MkIII(1960年式/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

インテリアは、アイランド・グリーン。タイヤとスターターモーター、バッテリーは交換済み。過去の履歴を遡ると、走行距離の改ざんもないようだ。

ウーズレー16/60(英国仕様)

登録:1969年式 走行:14万4800km  価格:8495ポンド(約166万円)

3速ATが載った後期型のウーズレー16/60。レッド・レザーとウォールナット・パネルの内装は、かなり状態が良い様子。販売店は、ガレージでの保管期間が長いためか、シャシーの状態も良好だと説明し、整備履歴のファイルが付属する。

オルタネーターと、リアのシートベルトが追加されている。お値段も含めて、かなり魅力的な1台に思える。

この続きは、BMCファリーナ・シリーズ UK版中古車ガイド(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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