実は軍用車両並みに頑丈 BMCファリーナ・シリーズ(2) 信頼できるBシリーズ・エンジン

公開 : 2025.03.15 17:46

1950年代末にBMCから5ブランドで展開されたファリーナ・シリーズ 英国のインテリアにイタリアンなボディ 銘柄で差の出た販売 信頼性の高いBシリーズ・エンジン 英編集部が魅力をご紹介

信頼性の高いBシリーズ・エンジン

BMCファリーナ・シリーズは、既に還暦を過ぎた例が殆どだから、ボディやシャシーはサビていて当然。それでも、軍用車両並みに頑丈に作られてはいる。大半は錆の修理を受けているはずだが、雑なツギハギ加工には注意したい。

クルマをぶつけて順位を争うレース、バンガー・ワールド・チャンピオンシップでは、マイナーチェンジ後のオースチンA60ケンブリッジが第1回大会で優勝。その後も6年連続で、ファリーナ・シリーズが優勝している。

BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)
BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

メカニズムはシンプルで、Bシリーズ・エンジンは信頼性が高い。それでも、経年劣化ですべてのコンポーネントが傷んでいると考えて良いだろう。エンジンの内部が摩耗すると、排気ガスが過度に煙ったり、回転が安定しなかったり、パワー不足などへ陥る。

エンジンオイルの漏れや、ヘッド周りとクランクシャフト付近から異音がないか、よく確かめたい。英国ではリビルド可能だが、作業には3000ポンド(約59万円)ほどの予算が必要になる。

当時は、有鉛ガソリンが一般的だった。現代の無鉛ガソリンで積極的に走らせると、バルブシートが駄目になる。ただし、穏やかに運転している限り、大きなダメージにつながることは稀といえる。

もし対策がまだなら、強化バルブシートへの交換も含めて、ヘッドのオーバーホールを考えたい。約500ポンド(約10万円)で、英国なら可能だ。パワー不足が酷い場合は、バキュームユニットの不調が原因のことが多い。

細かな整備が必要なサス 部品は入手可能

サスペンションのレバーアーム式油圧ダンパーは、リビルドすれば減衰力を回復できる。キングピンとスイベルは交換可能。5000km以下毎に、グリスアップを施したい。ステアリングラックは、過度な遊びがないか確認したい。

ブレーキは、新車時は充分な制動力だと評価されたものの、現代の基準では物足りないだろう。完璧な状態を維持したい。すべての部品は、英国では入手可能な状態にある。

BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)
BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

マニュアルのトランスミッションには、1速以外に変速時のギアの回転数を調整するシンクロメッシュが実装されている。2速が1番傷みやすい。内部のベアリングから異音がしないか、走行中にギアが抜けないか、試乗で丁寧に確かめたい。

ボルグワーナー社製の、35型オートマティックも専門家を頼ればリビルド可能。シフトアップ/シフトダウンが滑らかで、必要なタイミングでキックダウンするか確認は忘れずに。ATフルードは、透明なピンク色を保ちたい。

当時のタイヤは、クロスプライだった。現代的なラジアルタイヤの方がグリップ力は高いものの、見た目にふさわしい乗り心地と操舵感を味わいたいなら、クロスプライを選ぶのも悪くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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