実は軍用車両並みに頑丈 BMCファリーナ・シリーズ(2) 信頼できるBシリーズ・エンジン

公開 : 2025.03.15 17:46

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

ヘッドライト周辺を中心としたフロントフェンダー、ラジエター下のバランスパネル、アンチロールバー・マウント、フロントガラス周囲、フロントピラー、フロア周りは錆びやすい。シャシーのアウトリガーやサイドシル、ジャッキアップ・ポイントも弱点。

他にも、ドアの底面やリアフェンダー、リアのバランスパネル、トランクリッドなども錆びがち。メインのシャシーレッグの状態も、よく確かめたい。

エンジン

BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)
BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

直列4気筒のBシリーズ・エンジンは、基本的に高耐久。適切なメンテナンスを続けていれば、24万km程度はリビルドなしで使える。

しかし、現在までにエンジンが交換されていても不思議ではない。エンジンの番号と仕様が、モデルと合致しているか確かめたい。アップグレードされている例も多い。

エンジンオイル漏れや排気ガスの不自然な曇り、不安定なアイドリング、異音などがないか予め確かめたい。ラジエター内部には、汚物が溜まりがち。充分に冷却できなくなり、オーバーヒートへつながる。クーラントの交換履歴も要チェック。

トランスミッション

マニュアルでは、シンクロメッシュやベアリングの状態を確かめる。クラッチの摩耗にも注意したい。

オートマティックでは、フルードの状態に気をつけたい。変速が滑らかに行われるか、試乗でしっかり確認する。

サスペンションとステアリング

フロントサスペンションは、定期的なグリスアップが不可欠。ダンパーやピボットなどは摩耗しがち。キングピンの固着も珍しくない。ステアリングラックも、内部が摩耗しやすい。

今回の例は、スプリングマウントがオリジナルのまま。多くは、これまでに修復を受けているはず。

ブレーキ

スレーブシリンダーが固着しやすい。フルードの状態もチェックポイント。

インテリア

複数のブランドから提供されたモデルが故に、内装トリムの仕様は様々。オリジナル状態が望ましいが、現在までに各部が交換されていても不思議ではない。

BMCファリーナ・シリーズのまとめ

ファリーナ・シリーズは、普段使いできるクラシックサルーン。週末の旅行へ対応するだけでなく、通勤にも充分に使えるだろう。60年前後が経過したモデルだから、ブランドより状態を最優先したい。

フロントグリルのロゴがほんのり灯るウーズレーは人気で、生産数の少ないライレーやMGと同じくらいの価格で売買されている。5ブランド間での値段の差は小さい。

BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)
BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

銘柄違いの部品が取り付けられていないか、内装トリムなどは特に注意したい。希少性は、年々高まっている。

良いトコロ

現存するファリーナ・シリーズの多くは、しっかり整備され、状態が維持されてきた例が殆ど。そこまで整備は難しくなく、費用も想像するほどかからない。部品の入手も難しくはない。

良くないトコロ

徹底的なレストア費用を回収できるほど、取引価格が高いわけではない。改造された部分を元に戻すのは難しい。完全に同一の部品を探すのは、簡単ではない。

BMCファリーナ・シリーズ(1958〜1971年/英国仕様)のスペック

英国価格:721〜916ポンド(新車時)
生産数:約86万6700台(合計)
全長:4432-4534mm
全幅:1613mm
全高:1499-1518mm
最高速度:125-143km/h
0-97km/h加速:18.0〜25.6秒
燃費:8.9-11.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:1069-1166kg
パワートレイン:直列4気筒1489cc・1622cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン/軽油
最高出力:40ps/4350rpm-69ps/5000rpm
最大トルク:8.8kg-m/2100rpm-12.4kg-m/2100rpm
ギアボックス:4速マニュアル/3速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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