日本導入間近!スズキ初の量産BEV『eビターラ』初公開【新中期経営計画発表】

公開 : 2025.02.21 12:05

2月20日、スズキは2025~2030年度の新中期経営計画を発表しました。発表会場には同社初の量産BEVである『eビターラ』をはじめ、さまざまな技術展示も行われています。発表会に参加した篠原政明がレポートします。

2030年代前半に営業利益率10.0%以上を目指す

2月20日、スズキは2025~2030年度の新中期経営計画を発表した。発表会場には同社初の量産BEVである『eビターラ』をはじめ、さまざまな技術展示も行われた。

2021年6月に現在の鈴木俊宏代表取締役社長を中心とした集団指導体制へと移行して3年半。スズキの経営状態は比較的順調といえるだろう。現在の中期経営計画は、為替や売上構成の改善、品質の改善等により、2024年3月期実績で、売上高は5.4兆円(2026年3月期目標は4.8兆円)、営業利益率は8.7%(同5.5%)、ROE(自己資本利益率)は11.7%(同8.0%)と、目標を前倒しで達成した。

スズキ初の量産BEVである『eビターラ』を日本初公開。
スズキ初の量産BEVである『eビターラ』を日本初公開。    篠原政明

そこで次の新中期経営計画を1年前倒して2025~2030年度として発表した。『By Your Side(あなたのそばに)』をコーポレートスローガンとして、チーム・スズキは『生活に密着したインフラモビリティ』を目指す。

経営目標としては、2030年代前半に営業利益率は10.0%以上、ROEは15.0%以上の実現を目指す。2030年度の売上収益は8兆円、営業利益は8000億円(営業利益率は10.0%)、ROEは13.0%の達成を目指し、事業目標や財務目標を設定していく。

技術戦略としては、スズキの技術哲学である『小・少・軽・短・美』の理念に基づき、すべての過程でエネルギーを極小化し、製造からリサイクルまで『資源リスクと環境リスクを極少化させる技術』を目指す。

四輪/二輪/マリン、国別では日本/インド/欧州/中東・アフリカ/アジア/中南米・大洋州と具体的な戦略と取り組みは多岐に渡るが、ここでは日本の四輪について特化して紹介しておこう。なお、中国と米国に関しては、鈴木社長は「再参入はしない。そんな余裕はない」とコメントしている。

スズキにとって日本は成長市場。登録車の台数も伸ばす

日本市場では2030年度までに、BEV(バッテリー電気自動車)を6モデル展開し、2030年度にはパワートレーンの比率をBEV:20%/HEV(ハイブリッド車)80%をめざす。まず2025年度中には後述のeビターラと、トヨタ/ダイハツと共同開発中の軽商用バンBEVの2モデルを導入する。

スズキにとって日本は成長市場であり、登録車も伸ばして収益性を高め、インドに次ぐ安定的な収益の柱を目指す。とはいえ、生活になくてはならない日常の足として、軽自動車でユーザーの生活を支えている。

2030年度には比率をBEV:20%/HEV(ハイブリッド車)80%をめざす。
2030年度には比率をBEV:20%/HEV(ハイブリッド車)80%をめざす。    篠原政明

商品的には、日本のユーザーの嗜好や市場にあった商品を投入し、ラインナップを拡充する。とくに、スーパーエネチャージの投入などでHEVを強化していく。

販売サービス面においては、スズキが商品に込めたユーザーに対する思いやこだわりをていねいに発信することでブランド価値を高め、商品価値に見合う適正な価格で販売する。さらにユーザーに寄り添った営業活動を行い、ユーザー満足度を向上することで、新たなユーザーの獲得や、代替車販売、サービス入庫(車検、定期点検など)の増加も目指す。

そして、インドが生産拠点の中核になりつつあるが、日本がスズキ・グループのマザー生産拠点として、生産技術やノウハウでスズキ・グループの手本であり続ける。インドでシェア50%と年400万台の生産体制を目指すといっても、スズキは日本のメーカーなのだから。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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