【方向性は正解】商品改良版マツダCX-60に乗って見えてきた、個性を生かした追求の先!

公開 : 2025.02.24 11:05  更新 : 2025.02.25 16:47

マツダCX-60に乗り心地を中心とした商品改良が行われました。新たなFRラージプラットフォームを採用したこともあり、発売当初より乗り心地などに課題を抱えていますが、どこまで改善されたのでしょう? 西川昇吾がレポートします。

乗り心地の改善は感じられるが

乗り心地を中心に商品改良が行われた『マツダCX-60』。スペックや内外装に大きな変更はないので、その違いは以前のモデルに乗らなければわからない。ということで筆者は、前日まで改良前のCX-60を試乗してから今回の試乗会に臨んだ。最初に試乗をしたのはディーゼルの4WD、グレードは『XDエクスクルーシブ・モード』(プラチナクォーツメタリック)だ。

走り始めてすぐにわかったのは、変速がマイルドになっていること。制御が見直され、1~3速といった街中のストップ&ゴーでよく使う速度域がシームレスになった。サスペンションまわり変更がメインの改良であるが、今回の試乗で最も改良の恩恵を感じられたポイントであった。3割から5割のスロットル開度でゆったりと加速していくシーンでのコンフォート性能が、各段に良くなっているのだ。

試乗車はディーゼルの4WD、『XDエクスクルーシブ・モード』(プラチナクォーツメタリック)。
試乗車はディーゼルの4WD、『XDエクスクルーシブ・モード』(プラチナクォーツメタリック)。    神村聖

乗り心地に関してはよくなっているが、同価格帯のSUVに比べた時に大声で「CX-60はクラスの中でも良好な乗り心地」と評価できる仕上がりとなってはいない。それを感じるのは突き上げ感だ。

以前より少なくなっているものの、路面の段差やギャップにおいてこのクラスのSUVとしては突き上げ感が大きい。ただ、振動の収束は明らかに速くなった。以前はバネレートに対して減衰力が足りておらず、振動が長く残る印象があったが、今回はしっかりと減衰力が出ていて振動が素早く収まってくれる。少なくとも、ドライバーに与える不快な振動は少なくなった。

CX-60の良さはしっかりと残っている

そしてCX-60に対し、筆者が以前から持っていたポジティブな印象は健在だ。ハンドリングに加え、3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンというパワーユニットの気持ち良さが、最も好印象であった。ディーゼルらしく低回転域からトルクフルであるにも関わらず、回せばキッチリとパワーがついてくる。

そんな相反する二面を両立したようなフィーリングがとても好ましいのだ。特に3000rpm付近から直6らしい『クォーーン』といった具合のエンジンサウンドが聞こえてきて、つい回したくなるサウンドを奏でてくれる。

こちらは新しく追加された『XD SP』の2WD(マシーングレープレミアムメタリック)。
こちらは新しく追加された『XD SP』の2WD(マシーングレープレミアムメタリック)。    神村聖

また、4WDシステムも秀逸に感じた。後に試乗した2WDと比べると明らかにトラクション性能が高いことが実感できる。駆動輪の数が違うため当たり前と言われてしまえばそれまでだが、同じパワーユニットで最高出力や最大トルクのスペックも同一であることを忘れてしまいそうなほど、優れた加速感を味合わせてくれた。トルクフルなこのディーゼルエンジンを余すことなく生かすのであれば、4WDが必要と言えそうだ。

ではFRの2WDがダメなのか? と思われるかもしれないが、こちらにはこちらの良さがある。新しく追加された『XD SP』(マシーングレープレミアムメタリック)の2WDに試乗したが、ハンドリングの良さが際立っていたからだ。

よりナチュラルなステアリングフィールでクルマとの対話が楽しめて、荷重が移動する様子が分かりやすくてワインディングを走るのがより楽しい。今回の改良ではパワーステアリングの制御も変更され、低速域では軽い力でステアリング操作ができるようになっている。

その点がCX-60の持つハンドリングの良さをスポイルしてしまうのではと不安に思っていたが、そんなことはなかった。前日まで借りていた改良前モデルも2WDで、「少しワインディングを走って遠回りして帰ろうかな」と思わせてくれたのだ。そんなドライバーをその気にさせる乗り味は、改良後もしっかりと残されていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    西川昇吾

    1997年、富士スピードウェイのほど近くに生まれる。必然的に、モータースポーツとともに幼少期を過ごす。当時愛読した自動車雑誌の記憶に突き動かされ、大学時代から自動車ライターとして活動を開始。卒業後、動画系の自動車媒体に所属したのちフリーとして独立。地元の地の利を生かし、愛車のNBロードスターでのサーキット走行や、多彩なカテゴリーでのレース参戦を積極的にこなす、血気盛んな若手モータージャーナリスト。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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