【直す?作る?それとも借りる?】広がる旧車の楽しみ方 ノスタルジック2デイズ2025

公開 : 2025.02.26 07:05

2月22・23日にパシフィコ横浜で開催された『ノスタルジック2デイズ2025』を見ていると、旧車趣味もかなり分化しているように感じられました。そこで、いくつかの具体的な例を紹介しながら、旧車のさまざまな楽しみ方を篠原政明が考察してみます。

フルレストアより難しい? オリジナル探し

旧車趣味の王道? といえば、時を経てヤレてしまったクルマを見つけて手に入れ、内外装から機関までオリジナルに忠実に再現する、いわゆるフルレストアかもしれない。

だが、オリジナルに忠実に再現するには、エンジンをおろしたり、内装をいったん外したり、ボディを再塗装したり、そして交換パーツを探して手に入れる……など、コストも手間ヒマもかなりかかる。そしてめでたくオリジナルと同様に完成したとしても、現在の日本で普通に使うとそれなりにトラブルが発生するなど、無理があることが多い。

『プレミアムカーショップ・ピットハウス』が出品していた超絶レアなブラッキー仕様のスカイライン・ジャパン。
『プレミアムカーショップ・ピットハウス』が出品していた超絶レアなブラッキー仕様のスカイライン・ジャパン。    小川和美

それならば、オリジナルの状態で保存されていたクルマを見つけて手に入れるほうが、おそらくはコスト的にもフルレストアよりかからないはず。だが、程度の良い個体を見つけるのは、フルレストアよりも難しくなる可能性が高い。

ここで紹介するのは、滋賀県の『プレミアムカーショップ ピットハウス』というショップが出展していた、1978年式の日産スカイライン(ジャパン)ハードトップ『ブラッキー』。スカイラインは、このジャパンではいくつかの限定モデルを発売しているが、このブラッキーもそんな1台だ。パワートレインこそノーマルと同じL20Eだが、専用のアルミホイールやシビエの丸型イエローフォグランプ(当時流行していた)、そしてオーバーヘッドコンソールなどを特別装備していた。

しかも、この個体はオリジナルのまま。走行は約9万km。ワンオーナー車で保管状態が良かったので、ブラックのボディカラーはレストア車ほどビカビカではないが、上手に歳を経たボディは十分なツヤもあり、傷や凹みはない。

こうしたオリジナル車を見つけられるのも、『ノスタルジック2デイズ(以下、NOS2デイズ)』の楽しみのひとつだ。680万円という価格は、クルマの状態やレストア費用を考えれば、けっして法外なプライスではない。程度の良いオリジナル車を探すには、まずショップ探しから始まることになるのだが、それもまた旧車の楽しみ方のひとつだろう。あせらずに、じっくりと探してみることだ。

レプリカだって、楽しければ誰にも文句は言わせない!

少し古めのスポーツカーや限定モデルは、レストアでもオリジナルでも手に入れることは不可能に近い。また、恐ろしく高いプライスタグが付けられているはず。それならば現代のクルマをベースに、オリジナルから型を起こしたパーツで作り上げた、いわゆるレプリカで旧車のイメージを楽しむというのもありだ。

少し旧めのスポーツカーや限定モデルは、レストアでもオリジナルでも手に入れることは不可能に近い。また、恐ろしく高いプライスタグが付けられているはず。それならば現代のクルマをベースに、オリジナルから型を起こしたパーツで作り上げた、いわゆるレプリカで旧車のイメージを楽しむというのもありだ。

『アートレーシング』の『アートGTマークI』、MR-Sベースとは思えない高い完成度を誇る。
『アートレーシング』の『アートGTマークI』、MR-Sベースとは思えない高い完成度を誇る。    小川和美

名古屋の『アートレーシング』社長の村手氏が教える日本工科大学の生徒が作ったフォードGT40のレプリカ(ホンダ ビートがベース)を昨年のNOS2デイズに出展したところ「市販して欲しい!」とう声が寄せられた。

そこで今年はトヨタMR-Sをベースに、シャシやエンジン、足まわりなどは活かして、オリジナルのGT40から型を起こしたボディパネルを被せた『アートGTマークI』を出展した。サイズはオリジナルとまったく同じ。ルーフ部まで開く独特のドアや、ガバリと大きく開く前後カウル、インテリアはブラック基調でレーシーなインパネにフルバケットシートなど、Gulf(ガルフ)カラーも相まって、気分はまさに1960年代のル・マン24時間!

コクピットの後ろに収まるパワーユニットはフォード製のV8ではなく、見慣れた直4エンジンが横置きされている。「V8を搭載していないGT40なんて……」と思う人もいるだろう。だが、現代の日本で乗ることを考えたら、トヨタ製エンジンのほうがはるかに扱いやすいし、トラブルも少ない。もちろんエアコンは装着できるし、その気になればトランスミッションだってMR-Sに採用されていたセミATを組み合わせることも可能だ。

レースに参戦するわけではないし、往年のレーシングマシンを街中で走らせる気分を楽しみたいというなら、このGTマークIは格好の1台になるだろう。ちなみに車両価格は1088万円(税別)〜となっている。

なお、アートレーシングではマツダロードスターをベースにしたジャガーXKSSのレプリカなども製作している。こちらも気になる人がいるに違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_

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