ステランティス参画の中国銘柄 リープモーターC10へ試乗 無難な走り 明確な特長が欲しい

公開 : 2025.03.23 19:05

無難な走りの印象 明確な魅力や特長が欲しい

C10はシングルモーターの後輪駆動で、最高出力は218ps。数字ほど速くは感じられないが、リラックスして運転するファミリーSUVには丁度いい。トラクション不足に陥る場面は少ないはず。

アクセルとブレーキのペダルの反応は漸進的。フィードバックが薄いステアリングも、反応は正確といえる。

リープモーターC10(英国仕様)
リープモーターC10(英国仕様)

乗り心地はソフトだが、若干ゴツゴツとした振動が届く。操縦性は穏やかで、姿勢制御とのバランスは悪くない。トリップコンピューターの情報を信じるなら、平均電費は5.4km/kWhと充分に褒められる。

総合的な走りの印象は、可もなく不可もなく。無難といえるが、訴求力ある印象を生まないともいえる。

先述したが、C10の強みは価格。81.4kWhの駆動バッテリーを積み、1度の充電で480km以上走れ、急速充電の早いキアEV3と英国価格は並ぶ。C10は69.9kWhで、航続距離はカタログ値で423kmと劣るものの、ボディは大きい。

残価設定型プランの毎月の支払い金額は、4年契約で399ポンド(約7万8000円)に抑えられる。短くない期間だから、勇気も必要になるが。

とはいえ、EV3は運転しやすい。ボディはひと回り小さくても、実用性は大きく劣らない。荷室は充分に広く、後席へ大人2名が快適に座れる。C10との差を実感するのは、2m近い身長の持ち主だけだろう。

この価格帯には、ルノー・セニック E-テックや、オペルグランドランド・エレクトリックなど、優れた選択肢が複数ある。C10を、これらに並ぶ選択肢としてみなすことは、難しいかもしれない。明確な魅力や特長があれば、と思う。

リープモーターC10(英国仕様)のスペック

英国価格:3万6500ポンド(約711万円)
全長:4739mm
全幅:1900mm
全高:1680mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:7.5秒
航続距離:423km
電費:5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1980kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:69.9kWh
急速充電能力:84kW
最高出力:218ps
最大トルク:32.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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