メルセデス・ベンツCLA EV 最新技術を惜しみなく投入、細部にわたって効率性を向上

公開 : 2025.02.26 06:45

メルセデス・ベンツが今年後半に投入予定のCLA EVは、駆動系の効率性を可能な限り高めるためにさまざまな技術を採用している。

8km/1kWh以上の効率性

2023年にメルセデス・ベンツが初めてコンセプトCLA(Concept CLA)を発表した際、「電気時代の1リッターカー(燃料1Lで100km走るクルマ)」というフレーズを添え、バッテリーから駆動輪までの効率を93%に高めるという目標を強調した。

新型CLA EVは今年後半に発売予定で、100km走行ごとのエネルギー消費量は12kWh、1回の充電での航続距離は750kmに達するという。つまり、エネルギー消費効率は8km/1kWh以上となる。

新型CLA EVでは効率性にこだわった駆動装置が採用される。
新型CLA EVでは効率性にこだわった駆動装置が採用される。    メルセデス・ベンツ

これを実現するために、メルセデスはあらゆるテクニックを駆使し、ビジョンEQXXコンセプトの技術に基づく駆動システムを採用している。

CLA EVのベースモデルは、2段トランスミッション付きのリアモーターを1基搭載する。

モーターにおいてギアの多段化は必須ではないが、一部のメーカーは多段式を採用している。メルセデスは今回のケースにおいて、1速ギア比は11:1と短く、初期加速に優れ、牽引能力の向上と都市部における優れた効率性を実現すると主張している。

2番目のギア(比5:1)は高速走行時の効率性を高めるものだ。シフトポイントは走行モードやバッテリーの充電状態も考慮した上でソフトウェアによって決定され、あらゆる状況下で効率性を最大限に高める設計となっている。

1速は機械的なドッグまたは「爪」の噛み合わせによって、2速はメッキ加工されたクラッチによって選択され、シフトは気づかないほどスムーズに行われるという。

最高出力272psのモーターは永久磁石式であるが(その高い効率性と性能により、ほとんどのEVで使用されている)、メルセデスは磁石のレアアース含有量がごくわずかであるため、環境への影響は無視できるほど小さいと主張している。

「驚くほど静か」と言われるこのモーターは、最新のヘアピン巻線と、ローターに「ダブルV」型(上下に重ねたような形)に挿入された磁石を備えている。磁束を集中させることで、トルク密度を向上させるというアイデアである。

インバーターは、高い効率性を誇るシリコンカーバイド(炭化ケイ素、SiC)半導体をベースとしている。四輪駆動の4マティック車には、フロントアクスルに最高出力108psの1速モーターが搭載される。

モーターとトランスミッションによるエネルギーの消耗を防ぐため、多くのエンジン車の四輪駆動システムと同様に、機械式のディスコネクト(切り離し)ユニットが搭載されている。

フロントモーターには独自のシリコンカーバイドインバーターが搭載され、前後それぞれのモーターで回生ブレーキを実現している。

エントリーモデルのEVと銘打たれているにもかかわらず、バッテリーと電気アーキテクチャーは800Vと高電圧で、バッテリーは最大320kWで充電できる。これにより、コンセプトCLAは10分間の充電で300kmの走行が可能とされていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    英国編集部テクニカル・ディレクター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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