実車のスタンスを象徴?自動車メーカーとプロモーション用ミニカーの関係性【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第4回】

公開 : 2025.02.26 17:00

元モデル・カーズおよびカー・マガジン編集長である長尾循による、古今東西モデルカーにまつわるよもやま話です。第4回は自動車メーカーとプロモーション用ミニカーについて語ります。

一世を風靡したクルマの形をしたタバコ入れ兼灰皿

欧米では古くから実車の販促プロモーション用に、あるいはセールスの現場での『立体カタログ』として、スケールモデルが多用されてきました。欧州では1/43スケールのミニカーが、逆に北米では『プロモーションモデル』と呼ばれた1/25のプラ製のモデルカーが主にその役目を担ってきました。

少し遅れて我が国でも、各メーカーが販促用にクルマのモデルを作るようになりましたが、なかでも一世を風靡したのがクルマの形をしたタバコ入れ兼灰皿。若い方はご存知ないかもしれませんが、取り外し式の屋根を外すと中は灰皿とタバコ入れというフォーマットが定番で、大抵の場合ボディは金メッキでした。販促プロモーションというその用途は同じでも、国や地域によってそのあり様が異なるのがなかなか興味深いです。

自動車メーカーの多くが何らかの形でモデルカーをプロモーションに活用している。
自動車メーカーの多くが何らかの形でモデルカーをプロモーションに活用している。    長尾循

時は流れて現代。新車を手に入れることが家を買うくらいの一大イベントだった時代も遥か彼方。金メッキのクルマ型シガレットケースはすっかり見かけなくなりましたが、今でも自動車メーカーの多くが何らかの形でモデルカーをプロモーションに活用しています。というわけで、ここからは最近の日本と欧州メーカーのプロモーション用モデルカーを中心に、いくつか見繕ってご紹介してみましょう。

販促用モデルと言っても形態はさまざま

一口に販促用モデルと言っても、ディーラーのショールームで誰にでも買えるもの、試乗会などで来場者にプレゼントされるもの、クルマを購入したオーナーにプレゼントされるもの、はたまた新車発表会でプレス関係者に配られるもの等々、その形態はさまざまです。

まずはポルシェ。911やボクスターをはじめ、主要なラインナップが1/43ミニカーで用意されており、ポルシェ純正アパレルやオリジナルグッズと同様、ディーラーのショールームなどで入手可能です。

アルピーヌA110のプレス発表会で配布された1/43。日付やシリアルナンバーが入る。
アルピーヌA110のプレス発表会で配布された1/43。日付やシリアルナンバーが入る。    長尾循

ほとんどのミニカーはミニチャンプス・ブランドでお馴染み、ドイツのポールズ・モデルアート製。一般のミニカーショップで流通しているものとはパッケージなどが異なり、ミニカーコレクターの中にはこれらディーラーモデルを専門に集めているファンもいるようです。

また、メルセデス・ベンツアウディなど他のドイツ車勢もポルシェと同様、ディーラーのショールームなどでミニカーの購入が可能。モデルにもよりますが、これらミニカーはお馴染みの亜鉛合金製のダイキャストモデルの他、昨今ではレジン樹脂製のものも増えてきました。

ちなみにメルセデス・ベンツAクラスはシュコー製で、ディーラー専用パッケージが奢られています。シュコーもまたやはりドイツのミニカーブランドとして有名。また、A110の日本市場導入が決まった際、アルピーヌはその記念に1/43の特注モデル(レジン製・メーカー不詳)をプレス発表会会場で関係者に配布しています。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    長尾循

    Jun Nagao

    1962年生まれ。企画室ネコ時代を知る最後の世代としてモデル・カーズとカー・マガジンの編集に携わったのち定年退職。子供の頃からの夢「クルマと模型で遊んで暮らす人生」を目指し(既に実践中か?)今なおフリーランスとして仕事に追われる日々。1985年に買ったスーパーセブンにいまだに乗り続けている進歩のない人。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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