V12を直で! フェラーリ 12チリンドリ・スパイダーへ試乗 最上級フォールディング・トップ

公開 : 2025.02.27 19:05  更新 : 2025.02.27 22:14

現フェラーリの最上級フォールディング・トップ、12チリンドリ・スパイダー 見惚れるほど美しい佇まい 上品で優雅な内装 6.5L V12エンジンの咆哮をダイレクトに鑑賞 英編集部が評価

フェラーリ最上級フォールディング・トップ

現在のフェラーリには、ハイブリッドのSF90がある。12チリンドリは、先代の812 スーパーファストほど気張る必要がない。動的にはクーペへ劣るとしても、オープンとの相性が高いことは疑いようがない。

V型12気筒エンジンを積んだ12チリンドリ・スパイダーは、現在のフェラーリでは最上級にあるフォールディング・トップ・モデル。2025年秋に英国での販売が始まり、オプション抜きの価格は36万6500ポンド(約7146万円)だという。

フェラーリ12チリンドリ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ12チリンドリ・スパイダー(欧州仕様)

パフォーマンスでは、SF90が同社の頂点にある。そのぶん、12チリンドリはグランドツアラーの方向性を追求できる。それでも、信じられないほど剛腕で高速。充足度の高い運転体験を享受できる。

メカニズムは、クーペとほぼ変わらない。主な違いは、スパイダー化するため、ボディが強化されたことだろう。フェラーリによれば、812 GTS比で15%剛性が高いとしている。クーペとの違いは、明らかではない。

ピラーまわりを中心とするボディシェルの補強に加えて、サイドシルを肉厚化。ルーフの開閉機構と合わせて、車重はクーペから60kg増えている。乾燥重量で1620kgがうたわれる。

カンバス製のルーフなら、重量の増加は小さく留められた可能性が高い。しかし、スタイリング・チームを率いるアンドレア・ミリテッロ氏は、ソフトトップはローマのようにロマンティックな選択肢向きだと話す。

「より技術的なルーフで、スピードに適したシェルを作ります。ソフトトップでは、宇宙を目指せませんよね」

見惚れるほど美しい佇まい 上品で優雅な内装

佇まいは、クーペの方がより魅惑的だと筆者は思う。リアウインドウがなくなったことで、未来的な雰囲気は薄まった。とはいえ、スパイダーも見惚れるほど美しい。存在感も、実サイズ以上にある。

インテリアは、フォールディング・トップに関する部分以外、クーペと同じ。開閉用のボタンがあり、後方視界は狭められている。シートは、もちろん2脚だ。

フェラーリ12チリンドリ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ12チリンドリ・スパイダー(欧州仕様)

デザインは上品で優雅。内装の素材は、ラグジュアリーなものからカーボンファイバーまで、多彩に用意されている。ランボルギーニのような派手さはなくても、作り込みは極めて高い。

ベントレー・コンチネンタルGT スピードと同等の、堅牢性はないだろう。車重の差を考えれば、当然だが。

運転姿勢に変な癖はなし。空間にはゆとりがある。ステアリングコラムにシフトパドルが固定され、ステアリングホイール上にライトとワイパー、ウインカーのボタンが並ぶ。慣れるのに時間は必要だが、困るほどではない。

マネッティーノ・ドライブモードの選択も、ステアリングホイールから。タッチセンサーも備わる。段差を超える際のノーズリフト機能は、ダッシュボード上のタッチモニターで操作する。

このタッチモニターは、普段は目立たず、スマートフォンと連携可能。フェラーリは、そもそもカーナビを提供していない。スーパーカーを買えるユーザーは、最先端のスマートフォンを使い慣れていると判断した結果だが、賢明だと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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