【昭和も遠くなりにけり】ノスタルジック2デイズ2025から考える旧車ブームの発展と行末

公開 : 2025.02.27 07:05

2025年2月22・23日にパシフィコ横浜で開催された、日本最大級のクラシックモーターショー『ノスタルジック2デイズ』は、今年も盛況だった模様。篠原政明が、最近の旧車ブームとこれからについて考察しました。

今年も盛況だったノスタルジック2デイズ

今年で16回目を迎えた『ノスタルジック2デイズ(以下、NOS2デイズ)』。主催者側の発表によると、入場者数は22日(土)が2万332人、23日(日)が2万2229人で、2日間合計4万22561人(昨年は4万515人で前年比約105%)となった。出展台数こそ昨年の290台(2輪車などを含む)をわずかに下回る284台(同)だったが、出展社数は185社(昨年は165社で前年比112%)に増えている。

両日ともクラブヒーロー会員(Nostalgic Hero、Nostalgic SPEED、ハチマルヒーローのいずれかの定期購読者)は9時30分から入場できたが、一般の入場は10時からなので、開場前には入口前に入場を待つ人で100メートルくらいの列ができていた。会場内も総面積は約1.7万平方メートルと十分に広く、通路もそれなりに確保されているのだが、それでも自分の思ったように歩くのが難しくなるほど。まさに日本最大級のクラシックモーターショーだった。

会場の目玉となっていた『西部警察』のマシンRS軍団。ベースは日産スカイライン(6代目)。
会場の目玉となっていた『西部警察』のマシンRS軍団。ベースは日産スカイライン(6代目)。    小川和美

来場者の年齢層も、展示されている旧車の現役時代をリアルタイムで知っているシニア層やその子どもたち、その時代には生まれていなかった20〜30代やその子どもたちと、きわめて幅広く見られた。

来場者からは「キャンギャルがいないからカメラ小僧も来ていないのでクルマの写真が撮りやすい」とか、「入場料の3000円はちょっと高いかなと思うけど、500円分の金券が付くから……」などといった声も聞かれた。

展示車両では、1960年代後半から80年代の国産車、いわゆる絶版名車やネオ絶版といわれるクルマが人気の中心だが、当時ごく普通に走っていたクルマも「懐かしい」、「珍しい」と注目を集めるようになった。

旧車に人気が集まるのは、なぜ?

ところで、今なぜ旧車に人気が集まるのだろうか。もっとも、旧車は以前からけっこう人気があったのだが、ブームになってきたのは、令和に入った頃からではないだろうか。

元号も平成から令和に変わり、『昭和』が少しずつ遠くなっていく。当時のクルマは、今のクルマにはない、個性的で温かみのあるデザインがある。現代のクルマは空力や効率を追求した結果、どうしても同じようなシルエットになってしまう。それゆえ、フロントマスクなどで各メーカーはアイデンティティ作りに苦労しているのだが。そんなところから、旧車のどこかホッとする懐かしいデザインに心ひかれる人は多いのだろう。

昭和を象徴する360cc時代の軽自動車は『サブロク』という呼称で愛されている。バモス・ホンダ(TN360)もそのうちの1台。
昭和を象徴する360cc時代の軽自動車は『サブロク』という呼称で愛されている。バモス・ホンダ(TN360)もそのうちの1台。    小川和美

また旧車には『自動』や『電気仕掛け』とは違う、自分でクルマを操る楽しみがあった。もちろん、クルマの電動化や自動化は悪いことではない。安全や環境といった問題を考えれば、クルマが進歩するのは必然のこと。その代わり、好きな人なら自分でいじれる(修理やメンテナンスなど)楽しみは、今のクルマでは得られなくなってしまった。そのあたりも旧車人気の理由のひとつにあげられるだろう。

以前にも書いたが、旧車趣味は多様化している。

朽ちたクルマをオリジナルに忠実にレストアしたり、程度の良いオリジナル車を見つけてメンテナンスしたり、またレプリカを手に入れたり、購入が難しければレンタカーを借りたり共同所有者になったり、その前にミニカーやプラモデル、カタログやアクセサリー収集などから始める……等々、人それぞれに楽しめるのも、旧車趣味の良さかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_

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