【昭和も遠くなりにけり】ノスタルジック2デイズ2025から考える旧車ブームの発展と行末

公開 : 2025.02.27 07:05

気になる旧車の海外流出

ここ数年のNOS2デイズは、いわゆる『旧車ショー』から少し様変わりしてきたように思える。以前はオリジナルの車両や、忠実に再現したレストア車が中心だったのだが、最近はレストアしながらボディをモディファイしたりパワートレインをチューンする『レストモッド(レストア+モディファイ)』もかなり見かけるようになった。

それも、東京オートサロン(以下、TAS)に出展したほうが似合っているのでは? と思われるような派手なカスタマイズやチューンを施したモデルまで登場するようになった。さらには、オリジナルが入手困難なためもあるが、きわめて精巧なレプリカや、現代のクルマをベースに旧車をインスパイアしたカスタマイズモデルも見かけた。

国内外からも人気を集めるVeilSide(ヴェイルサイド)。元々はL型のチューナー、原点回帰のL型チューンで日本国内のレストモッド最前線を駆ける。
国内外からも人気を集めるVeilSide(ヴェイルサイド)。元々はL型のチューナー、原点回帰のL型チューンで日本国内のレストモッド最前線を駆ける。    小川和美

こうしたクルマの出展には、眉をひそめる旧車ファンもいなくはない。だが、旧車ブームが広く浅く展開し、その楽しみ方が多岐に渡っているのは、別に悪いことではない。他人に迷惑をかけずに自分が楽しんでいるのならば、旧車の楽しみ方にルールなどはないはずだ。

最近、気になっているのは日本の旧車ブームが海外にも波及していること。アメリカでは右ハンドル車の輸入は認められていないが、初年度登録から25年経過してクラシックカーとみなされれば、特例で輸入が解禁される『25年ルール』というものがある。つまり、今年(2025年)なら1999年までに日本で登録されたクルマならアメリカに持ち込める。

それゆえ、最近はアメリカをはじめ、中東のコレクターが日本の旧車を買いあさっているという。一度、日本から外国へ渡ってしまったクルマを、日本で買い戻すことは不可能に近い。

旧車の海外流出が旧車ブームに水を差すようなことにならなければ良いのだが、これに関してはショップや旧車オーナー次第ということになってしまう。メーカー側も自社のコレクションで博物館を充実させてもらいたいところだが、物理的に限りがあるのも事実。

今が盛りの旧車ブームだが、この先ちょっと心配な面も感じられる今日このごろだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_

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