メルセデス・ベンツSL350
公開 : 2012.07.31 17:08 更新 : 2017.05.13 12:53
■どんなクルマ?
70,000ポンド(860万円)ちょっとという絶対的には安くないものの、実質的には「最も安い」メルセデス・ベンツSLがこのSL350だ。そして、ある意味302bhpの3.5リッターV6は、最高のSLでもあるのだ。
そのベースとなったのは、メルセデスでも最も成功したロードスターであるが、大きなV8エンジンがガソリンを浪費するのに対し、このSL350はパワーこそ去勢されているが、ベストなバランスをもたらしていると言えよう。
■どんな感じ?
新しいSLは、そのボディをスティールからアルミニウムに変更したことによって140kgものウエイトを絞ることに成功している。しかも、よりボディ強度は増しているのだ。
確かにSL500やAMGモデルに比べれば、パンチの効いたアドレナリン一杯の加速は薄らいでいる。しかし、実際はV6のより緻密なパワー・アウトプットは、とりわけ英国ではむしろ歓迎されるべきものだ。ありあまるパワーではないがゆえに、そのパワーはスロットル・ワークに反応してリニアに増加してくれてコントロールが容易なのである。現実的にも、0-100km/h加速は5.9秒だから、決して遅いクルマではない。
また、このエントリー・レベルのSLで良いことは、エンジンとトランスミッションが抜群の伝達をしてくれることだ。V8エンジンのSLでは少しばかりエンジンのパワー・アウトプットにトランスミッションが追いつかなかったりと、もたつく感じがしたものの、SL350ではそれが一切感じられない。スポーツ・モードでもエコ・モードでもマニュアル・モードであっても、その連携は鋭くて滑らかだ。そのドライブは、完璧とは言い切れないものの、十分以上のものがあった。
われわれのテスト・モデルは、オプションの19インチ・ホイールと、調整可能なダンパーのオプションがついていたが、1.7トンのSL350に2人が乗った状態で、英国の荒れた路面でも、許容できる乗り心地であった。
■「買い」か?
SL350を選ぶ最大の理由はその価格だろう。それは最も手頃なSLで、ライバルであるポルシェ911カブリオレに対しても圧倒的な優位に立つ。もし、必要であればスポーティな走行を愉しむためのオプションも豊富だ。
SL350は贅沢で楽しいGTだ。その意見に賛成できないのであれば、どのSLを選んでも答えは同じだろう。この意見に賛成ならば、SL350は、十分に選択肢になりうるモデルである。
(ヴィッキー・パロット)
メルセデス・ベンツSL350
価格 | 72,495ポンド(890万円) |
最高速度 | 250km/h |
0-100km/h加速 | 5.9秒 |
燃費 | 13.3km/l |
CO2排出量 | 176g/km |
乾燥重量 | 1685kg |
エンジン | V6 3498cc |
最高出力 | 302bhp/6500rpm |
最大トルク | 37.7kg-m/3500rpm-5250rpm |
ギアボックス | 7速オートマティック |