【渋谷に2拠点目を構える意味】スバルがソフトウエア開発拠点『スバル Lab』を渋谷スクランブルスクエア内に開設!

公開 : 2025.03.04 11:05

2025年2月、スバルはソフトウエアの開発拠点として、WeWork渋谷スクランブルスクエアに、渋谷では2拠点目となる『スバルLab』を開設しました。メディアに向けて見学会が行われたので、篠原政明がその概要を紹介します。

ソフトウエアでクルマの性能を最大限に引き出す

日々進化しつつある街、渋谷の最新施設のひとつである『WeWork(ウィーワーク)渋谷スクランブルスクエア』。2025年2月にスバルは同所で、ソフトウエア開発拠点『スバル(SUBARU) Lab』を開設した。既に渋谷には2020年12月に開設した『H1O(エイチワンオー)』と呼ばれる拠点があったが、ソフトウエアの開発にブーストをかけるべく、2番目の拠点が開設された。

スバルは2023年8月に発表した新経営体制における方針として、『モノづくり・価値づくりで世界最先端を狙う』と謳った。それはつまりデジタルテクノロジーで実現する価値の最大化でもある。

2025年2月に開設された『スバルLab』、こちらは居室からの眺め。
2025年2月に開設された『スバルLab』、こちらは居室からの眺め。    スバル

たとえば、スバルを代表する安全技術の『アイサイト』は1989年に開発がスタートして以来、年々進化してきた。しかもセンサーやカメラ、半導体、ソフトウエアなど、すべてを内製で開発してきた。

そんなアイサイトをはじめ『走る・曲がる・止まる』といったスバルならではの車両運動性能を、デジタルカー時代の新たなスバルの安心と愉しさへ昇華するため、電子制御ソフトウエア技術を開発していく。つまり、電動車になっても安心と愉しさをより際立たせるには、制御統合ECUやEV制御、ADASなどに次々と新たな価値を生み出さなければならない。

ハードウエアを徹底的に活かせるソフトウエアの開発

そこで、今後のSDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)づくりを進めるにあたって、スバルは以下のように考えている。

1:最適なハードウエアをつくる

AMD社やオンセミ社など半導体会社との戦略的協業を進め、スバルがやりたいことをやるためのハードウエアを独自に企画し開発する。そうした制御統合ECUを開発し、指数的な成長を遂げる半導体業界の最新技術を使いこなすことがEE(電気/電子)領域差別化の生命線でもある。

2:ハードウエアに最適なソフトウエアをつくる

2020年12月に開設した『H1O(エイチワンオー)』に続く2拠点目となる。
2020年12月に開設した『H1O(エイチワンオー)』に続く2拠点目となる。    スバル

複数の設計・ソフトウエアベンダーとの深い領域の協業を推進する。ITと組み込み制御が同梱される時代に、このスバル Labを拠点として機能性と信頼性の双方を追求できるパートナー企業と協業してソフトウエアの差別化の根幹をつくる。

3:柔軟性、連携性、拡張性による競争力を持つ商品をつくる

SDV時代は競争力確保のための機能変更が頻繁に発生する世界となる。そこで主要システムの統合&連携は手の内におき、連携性と拡張性を確保する。協業の進化と拡大、標準技術領域も活用し、柔軟性と拡張性を確保する。

そのために、WeWork渋谷スクランブルスクエアにソフトウエア開発拠点を拡張する。これによって、スバルはハードウエアを徹底的に活かせるソフトウエアをつくり出していくのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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