3月2日ミニの日に、ミニについて考える【新米編集長コラム#21】

公開 : 2025.03.02 11:32  更新 : 2025.03.03 08:04

新しさとミニらしさを両立させたスタイリング

まずはクーパー3ドアから。ボディサイズは全長3860mm、全幅1755mm、全高1460mmと、もちろんクラシック・ミニに比べれば圧倒的な大きさではある。しかし、昨今はどのクルマも大きくなっていて、相対的な話にすれば、コンパクトさすら感じた。

新しさとミニらしさを両立させたスタイリングは魅力的だ。面の構成はシンプルながら、それでもミニだとわからせるのは、なかなかの高等技術に感じる。3世代目となる21世紀のミニだが、実は3台を比べるとそれぞれ雰囲気が違っていて興味深い。

面の構成はシンプルながら、それでもミニだとわからせるのは、なかなかの高等技術。
面の構成はシンプルながら、それでもミニだとわからせるのは、なかなかの高等技術。    山本佳吾

車重は1640kgと軽くないが、フロントに搭載するモーターは218ps/330Nmのスペックとなっており、動力性能に不足は感じなかった。航続距離もWLTCモードで446kmと、シティコミューターとして考えれば十分な数字だろう。

今回はワインディングにも持ち込んだが、その走りはお見事。コーナリングもキレイで、別車両の取材に同行していた吉田拓生さんも褒めていた。

しかし、乗り心地はイマイチだ。21世紀のミニは、クラシック・ミニの乗り味をイメージして『ゴーカートフィーリング』であることをアピールしてきた。この3代目も同様で、跳ねはしないが、単純に減衰だけ固められた印象。道の悪いところでは突き上げでしっかり頭が揺れて、クルマ酔いしそうになった(ちなみに筆者は三半規管が弱め)。

また、フロントガラスの天地幅が狭く、その分バックミラー位置が低いため、座高の高い筆者の視線を遮る場面が結構あった。あとラゲッジスペースの狭さも、正直ちょっと驚いていてしまった。

クーパー3ドアに乗っていて思い出したのは、『オシャレは我慢』という言葉だ。内外装のデザインは、クラシック・ミニへの拘りがなければ、素直に素敵だと思う。これを着こなすには若干の我慢が必要かもしれないが、デザインに惚れたらそれで充分という話だ。事実、車種別でミニは9年連続輸入車ナンバーワンの販売を記録しており、多くの人に支持されている。

ミドルサイズSUVとしてちょうどいいサイズ

続いて乗った5ドアSUVのカントリーマンだが、これはいい意味で驚かされた。

まずボディサイズは全長4445mm、全幅1845mm、全高1640mmと、もはやミニと呼ぶことに抵抗すらある大きさではある。しかしこれまた相対的な話をすれば、ミドルサイズのSUVとしては逆にちょうどいいサイズ、パッケージに思えた。

5ドアSUVのカントリーマン。ミドルサイズSUVとしては、ちょうどいい大きさだ。
5ドアSUVのカントリーマン。ミドルサイズSUVとしては、ちょうどいい大きさだ。    平井大介

デザインは好みが分かれそうだが、取材車がホワイトのボディにブラックのルーフだったため、パンダっぽい愛らしさも感じられる。クーパー3ドアに比べれば、ドライビングポジション、バックミラーの位置ともにまとも。足まわりの固さも、だいぶ抑えめであった。

一番驚いたのは、フロントとリアにそれぞれ190ps/247Nmのモーターを搭載した4WDの走りだ。とにかくよく走り、よく曲がる。2020kgの車重をものともせず、「うわぁ~これ楽しい!」と、運転席で叫びそうになってしまった。乗る前と乗った後の印象がここまで違うクルマも珍しいほどだ。参考までに航続距離は451kmである。

開発期間を考えれば、約四半世紀も生き抜いてきた21世紀のミニ。1959年に初代ミニが誕生してから66年が経過しているが、その中での四半世紀であるから、これは一時代を築いたといっても過言ではない。もっとストレートに書けば、ここまで続けてきたことは実に偉大だと思う。

今回BEVで乗ったこともあり、最新のミニたちは実にオシャレで洗練され、魅力に溢れているように感じた。まあ、ちょっとあざとすぎる気もするし、それを全部わかってうえで作っているBMW=ミニもズルいなぁと思わなくもないが、売れている理由がよくわかった気がした。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。

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