XC40のEVが改称 ボルボEX40へ試乗 シングルモーターでも活発 得意分野は高速巡航

公開 : 2025.03.25 19:05

シングルモーターでも活発 高速巡航が得意

公道へ出てみれば、後輪駆動のシングルモーターでも活発。255psと42.7kg-mを発揮するから、当然だろう。0-100km/h加速は、7.3秒で処理する。

パフォーマンス・パッケージが組まれたツインモーターは、442psと68.1kg-mへ上昇。0-100km/h加速を4.8秒でこなし、下手なスポーツカーより鋭い。最大トルクを引き出すには、アクセルペダルへかなり力を込める必要はあるけれど。

ボルボEX40(英国仕様)
ボルボEX40(英国仕様)

回生ブレーキは、アダプティブとワンペダルの2モードから選択可能。前者は交差点などが接近すると自動的に制動力が増し、それ以外は惰性走行を許す。後者は、アクセルペダルの角度だけで停止までまかなえる。手動で強さを調整することはできない。

ブレーキペダルの踏みごたえには一貫性があり、減速感を予想しやすい。摩擦ブレーキとの切り替わりも、自然だと感じた。

流れの速い郊外の道では、同クラスの電動クロスオーバー以上に軽快な、操縦性も従来どおり。グリップ力が高く、ステアリングはダイレクト。姿勢制御にも好ましい締りがある。運転の楽しさに、溢れるわけではないとしても。

ステアリングはおっとり気味で、感触が薄く、カーブではボディロールをある程度伴う。ESCをオフにできない一方、後輪駆動では、濡れた路面でリアタイヤがパワーを受け止めきれない瞬間も。それでも、ファミリー・クロスオーバーとして不満ないはず。

EX40が得意とするのは、高速道路の巡航。感心するほど洗練され、滑らかに先を急げる。車内は心地よく静かで、乗り心地は穏やか。長時間運転しても、少ない疲労感で済むだろう。

優れたパッケージング 特長はそのまま

実際の航続距離は、79kWhのシングルモーター・エクステンデッドレンジで、355kmといったところ。気温の低い冬場だったとはいえ、カタログ値からだいぶ離れていた。

英国価格は、4万5000ポンド(約877万円)弱から。iX1と同等といえる。ミドルグレードのプラスを選ぶと、5万ポンド(約975万円)を超えてしまう。

ボルボEX40(英国仕様)
ボルボEX40(英国仕様)

EX40へ改名されたとしても、特長はそのまま。優れたパッケージングと要点を抑えたデザインで、今でも充分な魅力を感じる電動クロスオーバーだといえる。

ひと回り小さいEX30より、インフォテイメント・システムは扱いやすい。シングルモーターかツインモーター、駆動用バッテリーの容量を選べる、パワートレインの幅もうれしい。このクラスでは、検討候補に加えたい存在のままだ。

◯:ソリッドなフィーリング 優れた実用性 普段使いに困らない航続距離
△:おっとり気味のステアリング エネルギー効率はほどほど 後席側の快適性はもっと高められるはず

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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