スタミナ以外の魅力沢山 シトロエンe-ベルランゴへ試乗 広大な車内に過不足ない動力性能

公開 : 2025.03.17 19:05

新しいフロントマスクと駆動用バッテリーを得たe-ベルランゴ 最大の売りは広大な車内空間 実用性重視の内装 過不足ない動力性能と操縦性 限定的な航続距離が足かせ 英編集部が評価

フロントマスクを一新 サイドにエアバンプ

最近の欧州では、ファミリーカーといえばSUVが主役。ワゴン車がベースのMPVが人気だった時代は、だいぶ昔のように感じられる。タフでシンプルで、実用性最重視という特徴に惹かれた人は多かった。

反面、SUVとは異なり、洗練性や上級感はあまり期待できなかった。そんなイメージの刷新が目指されたのが、フェイスリフトを受けたシトロエンe-ベルランゴだ。

シトロエンe-ベルランゴ M(英国仕様)
シトロエンe-ベルランゴ M(英国仕様)

走りの質を磨き、航続距離が伸ばされている。英国価格も、MPVの選択肢がすっかり少なくなった英国市場では、かなりの訴求力を持っている。果たしてSUVの方を向いた、お父さんやお母さんを振り向かせることはできるだろうか。

スタイリングは、フロントマスクを中心に一新。2022年のコンセプトカー、シトロエン・オリの影響を強く感じさせる。ダブルシェブロンの新ロゴが中央に据えられ、3本のラインで構成されるシャープなLEDライトが、ポップな表情を作っている。

サイドビューは、兄弟モデルのプジョー・リフターやフィアットドブロと概ね同じ。それでも、ワンボックス・ボディとして特徴を巧みに生み出している。サイドウインドウが大きく、商用車の延長には感じられないはず。

ドアには、エアバンプと呼ばれる、シトロエンらしいガードトリムが付く。2014年のC4 カクタスが懐かしい。

最大の売りは広大な車内空間 実用性重視の内装

今回のフェイスリフトでは、新しい駆動用バッテリーを採用。52.0kWhへ容量が増し、1度の充電で走れる距離は従来より20%長い、342kmへ伸延した。急速充電は、100kWへ対応する。

英国仕様のエントリーグレード、プラスではホイールが16インチのスチール。エアコンとパーキングセンサーが備わり、内装はダークグレーでコーディネートされる。

シトロエンe-ベルランゴ M(英国仕様)
シトロエンe-ベルランゴ M(英国仕様)

マックス・グレードが最上級で、17インチのアルミホイールにデュアルゾーン・エアコン、バックカメラ、ライトカラーの内装などを得る。ボディは、5シーターとなる標準のMと、ロングホイールベースで7シーターとなるXLから選択可能だ。

広々とした車内空間が、MPV最大の売り。e-ベルランゴには、どの席でも、大人が問題なく過ごせるゆとりがある。荷室容量は775Lで、日常的な荷物なら殆ど何でも載せられるだろう。小物入れも充実している。

試乗したプラス・グレードの場合、内装は質実剛健で、硬質なプラスティック製であることを隠さない。マックス・グレードでも、上質な素材がふんだんに充てがわれるとはいえない。

シンプルなインフォテインメント・システムを実装した、10.0インチのタッチモニターがそびえるダッシュボードも、実用性重視。エアコンには実際に押せるハードスイッチが残され、10.0インチのメーター用モニターは視認性が良い。

タッチモニターは操作しやすいものの、反応がやや遅め。スマートフォンとのミラーリングには、標準で対応する。筆者はアップル・カープレイを試したが、好調だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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