【幻の930ターボが復活】コレクタブルカーの共同所有を手掛けるランデヴーが国内1号車をレストア

公開 : 2025.03.04 17:05

コレクタブルカーの共同所有サービスを手掛ける横浜のRENDEZ-VOUS(ランデヴー)が、一昨年より取り組んでいたレストアプロジェクトの完了を発表。1975年製ポルシェ930ターボの国内登録1号車が復活しました。

バーンファインドは突然に

今から50年前、『ターボ』という言葉がまだ非常に強い魔力を帯びていた時代。BMWの2002ターボに遅れること1年、1974年に930ターボはデビューを果たした。

3.0リッターエンジンを搭載する初期型の930ターボは、正式には『911ターボ3.0』と呼ばれ、1975年から1978年のわずか4年間しか製造されていない。

全世界で数えて51台目、日本では1号車の希少な911ターボ3.0。
全世界で数えて51台目、日本では1号車の希少な911ターボ3.0。    RENDEZ-VOUS

今回、コレクタブルカーの共同所有サービスを手掛けるRENDEZ-VOUS(以下、ランデヴー)が一昨年よりレストアに取り組んできた個体は、初期型の初年度にあたる1975年に製造されている。ちなみに、最初期の1975年に製造されたのは300台にも満たない台数だという。

車体番号は『9305700051』、それはつまり全世界で数えて51台目であるということを意味している。それに加えて、日本でポルシェの輸入を手掛けていた、『ミツワ自動車』によってデリバリーされた最初のクルマであること、さらに、ワンオーナーであったことからも、歴史的・文化的価値の高い、まさにプライスレスな個体といえる。

今回のケースは厳密にはバーンファインドとは呼ばれないが、このようなクルマがつい最近まで眠っていたのだから、「日本のバーンファインドもなかなかロマンがあるなぁ……」なんてことを考えると同時に、人知れず朽ちていってしまう前に発見されて蘇って欲しいと願わずにはいられない。

レストアの道のり

メディア向けに配布された資料に、レストア時に修理をした項目や交換した部品の全てがぎっしり記されているものがあった。

中身を見てみると、ボディこそ室内保管で痛みが少なかったようで、派手な修繕もせずオリジナルペイントを生かしているものの、エンジン周りはフルオーバーホールされ、そのほか足回りや燃料系など、あらゆるところに手が入れられており、部品も替えられるものはボルトやナットに至るまでほぼすべて交換されているようだ。

『ミツワ自動車』の技術と誇りを受け継ぐポルテックによってレストアされた。
『ミツワ自動車』の技術と誇りを受け継ぐポルテックによってレストアされた。    RENDEZ-VOUS

筆者も旧車を所有しているのだが、これほどまでに部品が豊富に供給されているというところ、やはりポルシェは流石だなと感じた。

近年、レガシーとして旧いクルマやエピソードを持ち出す機会が増えたが、ポルシェの部品供給や諸々のサービスを見ていると、ヘリテージを継承していくサポート体制の拡充をせずに、ただ縋るだけというのは少し都合のいいように思えてならない。これからの動向に期待していきたいと思う。

今回レストアを担当したのは、静岡県御殿場市の『PORTECH(以下、ポルテック)』だ。ポルテックは2022年にその幕を閉じたミツワ自動車に在籍していた熟練メカニックが整備を行うポルシェ専門のスペシャルショップである。

唯一手に入らなかったサンバイザー以外は全てオリジナルに則ってレストアを完成させたという。ランデヴー代表の浅岡亮太氏いわく「99.9パーセントのオリジナル度」だそうだ。

会場では、一発始動で少しの暖気ののち、穏やかで安定したサウンドを披露してくれた。エンジンがかかった途端、会場の空気感が少し変わった気がした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_

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