速さ以上を求めたい メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッドへ試乗 最長88kmを電気だけで対応可
公開 : 2025.03.21 19:05
電気で最長88km走れる、GLE 53のプラグインHV 殆どのクルマを置き去りにできる総合544ps 平滑な路面なら魅力的な操縦性や乗り心地 本物のAMGとは呼びにくい? 英編集部が評価
もくじ
ーAMG GLE 53と数万円差のプラグインHV
ー殆どのクルマを置き去りにできる総合544ps
ー平滑な路面なら魅力的な操縦性や乗り心地
ー操縦性も動力性能も本物のAMGとは呼びにくい
ーメルセデスAMG GLE 53 ハイブリッド4マティック+ プレミアム(英国仕様)のスペック
AMG GLE 53と数万円差のプラグインHV
メルセデスAMGのアッパーミドルSUV、GLEに53 ハイブリッドが登場した。「さあ皆さん、プラグイン・ハイブリッドをタダで手に入れるチャンスです」。こんな広告展開が、英国では最近繰り広げられている。
確かに、従来のモデルラインナップと比較すると、価格差は殆どない。直列6気筒マイルド・ハイブリッドのAMG GLE 53と、V8ツインターボのAMG GLE 63 Sの中間に位置するモデルだが、英国価格はGLE 53と200ポンド(約4万円)も違わないのだ。

一般的に、プラグイン・ハイブリッドは特別なパワートレインで、お高めの値段設定が当たり前。メルセデスAMGの高級SUVに9万ポンド(約1755万円)以上も支払える人にとって、数万円の差など、無視できるものに違いない。
ただし、トリックがある。メルセデスAMGはフェイスリフトをきっかけに、AMG GLE 53の価格を5桁ポンド(数100万円)単位で値上げしている。プラグイン・ハイブリッドの割合を増やすべく、意図的に価格調整したと勘ぐっても、不当ではないだろう。
こんなマーケティング的な駆け引きはさておき、AMG GLE 53 ハイブリッドが搭載するパワートレインは、高性能サルーンのAMG E 53と基本的に同じ。つまり、プラグインではないAMG GLE 53とも同じ、3.0L 直列6気筒ツインターボを搭載している。
殆どのクルマを置き去りにできる総合544ps
直6エンジンの出力は13ps強化され、9速マルチクラッチATとエンジンの間に、135psの電気モーターが挟まれている。リアアクスルの直上には、31.2kWhの駆動用バッテリーが積まれている。
ただし、ガソリンタンクは、AMG GLE 53より20Lぶん小さい。長距離を頻繁に走行する機会が多いドライバーは、気に留めておきたい違いといえる。

駆動用バッテリーが満充電なら、最長で88kmを走れると主張されるが、現実的には70km程度。充電が切れた場合の燃費は、高速道路の巡航で9.0km/L程度。20L多くガソリンを蓄えられるAMG GLE 53の方が、全体の航続距離では長い可能性が高いからだ。
市街地などを中心に利用し、こまめに充電できる環境があるなら、状況は異なる。ガソリンを燃やす時間は、限りなく短くできるはず。
動力性能は、AMG GLE 53 ハイブリッドの方が0-100km/h加速で0.3秒も鋭い。車重が425kgも重いにも関わらず。AMG GLE 63 Sと比べても、差は1秒以下だ。メルセデスAMGのSUVだから、ドライバーが期待することは速さ以外にも沢山あるとしても。
エンジンのサウンドは、ドイツ・アファルターバッハで組まれるユニットへ求められる音響には届いていないだろう。それでも、高域ではしっかり響きが増す。
駆動用モーターが加勢すると、パワー感は溢れんばかり。システム総合で544psと76.3kg-mが繰り出され、公道では殆どのクルマを置き去りにできる。息を呑むほどの、鋭さはないかもしれないが。
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