フォルクスワーゲン新型EV「ID.Every1」初公開 約320万円で2027年発売へ Up!の精神的後継車

公開 : 2025.03.07 06:45

車載ソフトウェアに焦点

フォルクスワーゲンの開発責任者グリュニッツ氏は、ID.Every1の量産バージョンは「顧客定義型車両」になるだろうと話す。これは、ソフトウェアを中心に開発された「ソフトウェア定義型車両(SDV)」を想起させる言葉だ。

前述の通り、量産バージョンはフォルクスワーゲン・グループとして初めて、米リビアンとの合弁事業で生まれたゾーナルソフトウェア・アーキテクチャーを採用する。ピックアップトラックのR1TとSUVのR1Sで使用されている既存のソフトウェアをベースにしたもので、非常に柔軟性が高いとされる。ID.1では簡素化し、上級モデルではゾーンを追加して処理速度の高速化と機能追加を実現できるという。

インテリアはシンプルで、使い勝手を重視した設計となっている。
インテリアはシンプルで、使い勝手を重視した設計となっている。    フォルクスワーゲン

このソフトウェアについてグリュニッツ氏は、「最大の利点は、柔軟性とアップデート性に優れていることだ。現在道路を走っているリビアンのモデルを見ても、顧客が手を触れることなく、定期的に新しい機能にアップデートすることができる。まさに次のステップだ」と語った。

グリュニッツ氏は、追加機能のダウンロードを有料化することについて否定はしなかったが、目標価格2万ユーロの達成には「必要ない」とし、「現時点ではその方向で開発はしていない」と付け加えた。

入門モデルに高度なソフトウェア・アーキテクチャーを搭載するのは異例だが、フォルクスワーゲンにとってID.1はそれだけの価値がある重要なモデルということだ。

今後の計画

ID.Every1の量産バージョンは欧州で製造されるが、どの工場に割り当てられるかはまだ定かではない。スペインでID.2やその兄弟車とともに製造される可能性もあるが、すでに4車種の製造が決まっているため、おそらく他の場所で製造されることになるだろう。

フォルクスワーゲンは2027年までに9車種の新型車を発売する予定であり、ID.1もその中に含まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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