フェラーリF40へ迫る速さ TVRサーブラウ UK版中古車ガイド(1) 一度見たら忘れない容姿
公開 : 2025.03.30 17:45
独自V8エンジンでスーパーカー級に速い、2+2ボディのサーブラウ エッジの効いたサウンドとスピード パワフルなFRを電子アシストなしで運転する興奮 英編集部が長短を振り返る
フェラーリF40やマクラーレンF1に迫る速さ
プロトタイプが発表されたのは、1994年。TVRサーブラウの速さに、AUTOCARは度肝を抜かれた。これ以上速く走るには、フェラーリF40かマクラーレンF1が必要だと、書き残されたほど。
1981年に経営を継いだピーター・ウィーラー氏は、グリフィスとキミーラでTVRの立て直しに成功。ドライバーが結婚し、人生が次のステージへ進んでも他メーカーへ流れないよう、2+2のモデルも必要だと考えた。

かくして、サーブラウにはベビーシートも設定。ウィーラーが目指した役割を、しっかり果たしている。
反面、1994年にBMWはローバーを買収。グリフィスやキミーラへ載っていた、ローバー由来のV型8気筒エンジンは入手が難しくなってしまう。そこで彼は、独自のユニットを開発するという、思い切った決断を下した。
設計を担当したのは、技術者のアル・メリング氏とジョン・レイヴンズクロフト氏。フラットプレーンクランクを採用した、AJP8ユニットが生み出される。
開発時のテストでは、自社のレーシングカーへ搭載。乾燥重量が121kgと小型・軽量でありつつ、大パワーを発揮することが確かめられた。その結果、サーブラウはスーパーカー級の動力性能を得ることになった。
TVRの技術者を、このV8エンジンは魅了した。レーシング・ユニットといえる設計で問題もはらんでいたが、その特別さで、多くのオーナーを獲得するに至った。初期型の4.2Lの最高出力は、360psが主張された。
パワフルなFRモデルを、電子アシストなしで運転
一度見たら忘れないスタイリングを手掛けたのは、ダミアン・マクタガート氏。アグレッシブすぎず、現在でも新鮮さは薄れていない。
インテリアをデザインしたのは、ニック・コフラン氏。大胆・複雑な造形なだけでなく、レザーがくまなく張り巡らされ、実用性も無視されていない。ステアリングホイールの下部に補機メーターが並ぶ、型破りなレイアウトも特徴だろう。

当時のF1風ステアリングホイールには、クラクションだけでなく、ワイパーやライト類のスイッチを配置。助手席は大きく前方へスライドでき、リアシート側の空間を広く確保できる。
パワフルなFRモデルを、電子アシストなしで運転したいというドライバーがターゲットで、サーブラウにはABSやトラクション・コントロールが未実装。そのかわり、ストロークが長く精緻なアクセルペダルで、正確にパワーを引き出せる。
ステアリングレシオは、ロックトゥロック2回転とクイック。1999年に追加された4.0L直列6気筒「スピードシックス」仕様では、2.4回転へ僅かに落とされた。
この直6エンジンは、4.2L V8へ迫る355psを発揮しつつ、最大トルクは僅かに上回った。スペック上の違いは小さかったものの、高い柔軟性でより速く運転しやすい。
サーキット前提のV12エンジン仕様も登場し、その公道用モデルも提供されている。7.7L V12の最高出力は900ps以上で、0-100km/h加速は2.9秒。最高速度は386km/hへ届いたが、ウィーラーは速すぎると判断し、1台限りで終了している。
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