ボルボ ベストセラー車のEV版「EX60」をチラ見せ 2026年発売 電動化の後押しに

公開 : 2025.03.08 06:45

ボルボは2026年に発売予定の新型EV「EX60」の予告画像を公開した。人気モデルのXC60に相当する電動SUVで、先進的なSPA3プラットフォームとメガキャスティング技術を初めて採用する。

XC60の電動版 次世代の主力へ

ボルボは、2026年に発売予定の新型EV「EX60」の画像を初公開した。同社のベストセラー車であるXC60に相当するSUVで、電動化を進める中で重要なモデルとなる。

今回公開されたのはクレイモデル(粘土で作った実物大模型)の一部で、リアエンドやリアライトの形状が確認できる。ボルボの発表によると、年内にプロトタイプを製作し、走行テストを開始するという。

公開された「EX60」の予告画像。人物との比較で全体的なサイズ感やシルエットがわかる。
公開された「EX60」の予告画像。人物との比較で全体的なサイズ感やシルエットがわかる。    ボルボ

EX60は、先進的なSPA3プラットフォームをボルボの量産車として初めて採用する。このプラットフォームは事実上、大型のEX90とES90で使用されているSPA2プラットフォームの後継となる。

これらのモデルと同様に、EX60は高度なソフトウェアスタックを中心に設計され、OTA(無線)アップデートや新機能の追加に対応できるようになる。

ボルボの経営陣は以前、EX60について同社の電動化の「大きな後押し」になると語っていた。販売面で大きな成功を収めているXC60のEV版という立ち位置になるからだ。

EX60は、おそらくXC60とほぼ同じボディサイズになると思われる。また、EX30やEX90からスタイリングの影響を受けていることは間違いない。

次世代のプラットフォーム

技術責任者のアンダース・ベル氏は、SPA3プラットフォームを「100%電気で100%ボルボ・カーズ」と表現し、親会社である吉利グループのプラットフォームを使用するEX30との違いを強調した。

「100%電気であるため、古いエンジンの制約をすべて取り除くことができた。当社は、この問題に対して非常に根本的なアプローチを取った。これらの製品には、高度に統合された最高レベルのテクノロジーが結集していることがお分かりいただけるだろう」とベル氏は力を込める。

ボルボXC60は販売面で同社を支えている重要なモデルだ。
ボルボXC60は販売面で同社を支えている重要なモデルだ。

ベル氏はSPA3について、次のように述べている。

「メカニカルな観点では大きな一歩だが、ソフトウェアの電子工学的な観点では純粋な進化だ」

「EX90に投入したすべての作業は、そのままSPA3採用車にも投入される。基本的に同じソフトウェアスタックだ」

「SPA3は当初から、サイズや価格、販売地域を問わず、また、販売台数の面でも、より拡張性のある設計を目指している」

「あらゆる側面でスケーラビリティを考慮して設計されている。サイズに関して言えば、BセグメントからFセグメントまでのスケーラブルな設計を心がけている。柔軟性を確保し、市場ニーズに合った製品を必要なタイミングで投入できるようにするためだ」

ベル氏によると、ボルボの今後の新型車はすべて、同じ基本技術スタックを共有することになるため、より集中的かつ迅速な開発が可能になるという。

「すべてが単一の技術スタックであるため、作業の重複がない。基本的なソフトウェアスタックや電気アーキテクチャーも同じだ。サイズ、価格、機能面において拡張性があるが、異なるエコシステムに製品を広げるものではない」

「当社が手がけるものはすべて、ボルボのコネクテッドカーのクラウドと結びついている。成功しているIT企業を見ると、その製品すべてが相互にリンクしている単一の技術スタックを持つ企業ばかりだ。アップルが良い例だ。ハードウェア、ソフトウェア、電話、ノートPC、これらは基本的にすべて同じソフトウェアで相互にリンクしている。これが、IT企業として今後、当社が目指すべき方向性の1つの例だ」

「当社が目指すのは、安全性、持続可能性、そして素晴らしい顧客体験の創出であり、これらすべてを北欧デザインで包み込み、1つの技術スタックにまとめることだ」

AUTOCARでも以前報じたように、EX60はメガキャスティング技術をボルボとして初めて導入する予定である。メガキャスティングは、車両の大きなセクションを単一パーツとして作成することができる製造技術だ。SPA3のモジュール性の高さも活かし、製造コストの削減を図る。

ボルボのEVラインナップは現在、EX30、EC40、EX40、ES90、EX90に加え、中国市場向けのEM90の計6車種を展開している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×