フォルクスワーゲンが物理スイッチへの回帰を宣言  タッチパネル中心は「過ち」

公開 : 2025.03.10 18:25  更新 : 2025.03.17 17:44

フォルクスワーゲンのデザインチーフであるアンドレアス・ミント氏は、重要な機能を物理ボタンではなくタッチスクリーンに集約させたことを『過ち』と表現し、二度と繰り返さないことを約束しました。

2026年から物理スイッチを順次再導入

この先、フォルクスワーゲンの全モデルは、タッチスクリーンだけではなく重要な機能を操作するための物理スイッチを搭載していくと、デザインチーフであるアンドレアス・ミント氏は説明する。

ここ数年間、フォルクスワーゲンは、車内の重要な機能の多くを物理的なボタンやダイヤルからインフォテインメントのタッチスクリーンに集約させたことで批判されていた。

新型のEVコンセプト「ID.Every1」では、よく使う機能に物理スイッチが割り当てられている。
新型のEVコンセプト「ID.Every1」では、よく使う機能に物理スイッチが割り当てられている。    フォルクスワーゲン

また、フォルクスワーゲンは、タッチスクリーンの下に空調の温度調節とボリューム調整のための『スライダー』と呼ばれるハプティック(触覚)パネルを用意し、ステアリングホイールにもボタンの代わりに同様の触覚フィードバック式のボタンを装備していた。

しかし、最近になって同社はステアリングホイールにおいて物理的なボタンを再導入しており、来年登場予定である『ID.2allコンセプト』の量産仕様からは物理的なボタンへと回帰するという。

「『ID.2all』以降、当社が作るすべてのクルマには音量調整、左右エアコンの温度調整、風量調整、そしてハザードと最も重要な5つの機能のための物理的なボタンが搭載されるでしょう」

「わたし達は、二度とこのような過ちを犯しません。ステアリングには、物理的なボタンがあります。フィードバックがあるので、もう推測に頼る必要はありません。リアルで、人々はこれを愛しています。クルマはクルマなのであって、電話ではありません」とミント氏は主張する。

また、フォルクスワーゲンはタッチスクリーン搭載車を作り続けるが、これはすべての新車にバックカメラの装着が義務付けられている米国などの法的要件に対応するためでもあるという。

さらにミント氏は、「特定の領域で提供しなければならない機能がたくさんあるため、スクリーンは大きくなり、システムの階層深くには多くのHMI(ヒューマンマシンインターフェース)コンテンツが存在します。しかし、5つの主要機能は常に最初の物理層にあります。それはとても重要なことです」とコメントしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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