空気をすり抜ける流麗ボディ マクラーレン・スピードテールへ試乗 402km/hで自主規制
公開 : 2025.03.28 19:05
流麗なボディが空気をしなやかにすり抜ける
V8ツインターボの始動は、他のマクラーレンと同じ操作で。フラットプレーンクランクらしい、サウンドも似ている。もっと差別化されても良かったと思う。優雅な響きの方が、このクルマには似合うはず。
ただしV型10気筒を開発するとしても、組まれる数は106基だから、相当高価なものになってしまう。V12なら、ハイパー・グランドツアラーとして、更に別格だったかもしれないけれど。

最高出力は、システム総合で1070ps。V8エンジンは757psを発揮し、永久磁石モーターは313ps以上をアシストするそうだ。
このハイブリッドは、純粋にパワーを強化するために存在する。かつてのP1のように、EVモードは備わらない。プラグインではないが、ガレージの床に誘導充電パッドを敷設することで、無線で駆動用バッテリーの充電は可能だという。素晴らしい。
ドライブモードをスポーツにすれば、117.0kg-mの最大トルクを召喚できる。幅が315もあるリアタイヤへすべてが伝わると、殆どの人が公道用モデルでは体験したことがないであろう、加速が始まる。
ボディの前方にある空気をパワーで切り割くような、豪快さとは様相が異なる。繊細で流麗なボディが、空気の層をしなやかにすり抜ける。最小限の抵抗で。
マクラーレンが公表する動力性能の数字は、0-300km/h加速が13.0秒なことだけ。驚異的なことは間違いない。アクセルペダルを緩めても、空気で押し戻される勢いは想像以下。超高速域でも、スルスル滑走してみせる。
抜群の乗り心地と操縦性 驚くほど軽い1499kg
最高速度は、402km/hで自主規制される。ドイツのアウトバーンでも到達は難しいが、この速度域を安全にこなすため、強化されたホイールとタイヤ、ブレーキ、サスペンションが組まれている。
その結果、バネ下重量は理想より重い。乗り心地にも影響はあるはずだが、実際は抜群に良い。筆者はマクラーレン12Cが過去ベストだと考えてきたが、それを凌駕する。

ブレーキも優秀。ペダルの踏み初めの感触は若干曖昧ながら、制動力と精度は凄まじい。まさに感動モノだ。
ステアリングも素晴らしい。エンジンと7速ATの間に電気モーターを挟む都合で、ホイールベースは58mm伸ばされ、ローレシオのステアリングラックと相まって、安定性と回頭性を高度に叶えている。
走行距離を重ねるほど、スピードテールへ魅了される。当初はグランドツアラーをイメージしていたが、少し見当違いだったようだ。技術的には最先端でも、哲学的には半世紀ほど前のスーパーカー、フェラーリ・デイトナなどへ近いかもしれない。
もちろん、大陸横断を高速で安楽にこなせる。だがそれ以上に、出色のドライバーズカーだといえる。これで、すべてが腑に落ちる。車重は1499kgと、驚くほど軽い。地平線の彼方へ疾走する、ハンドリングマシンなのだ。
マクラーレンはサーキットを想定せず、サスペンションは公道へ最適化された。完全には平滑ではないアスファルトとも、親和性は高い。内外の美貌と、秀抜な運転姿勢や操縦性、快適性を確かめるのに300km/h、いや、200km/hも必要ではない。
コメント