スバル本当の「レガシー」へ 3代目レガシィ・ツーリングワゴン(1) 現行アウトバックが継ぐ魅力

公開 : 2025.03.29 09:45

水平対向4気筒にシンメトリカル四輪駆動

アウトバックはすぐに人気を獲得し、レガシィが3代目へ進化したタイミングで、独立モデルという扱いに。最近の英国では、同社のベストセラーになっている。

現在のスバルは、WRCでの挑戦から手を引いた。主なターゲットは、3代目レオーネの頃と同様に、日常的に四輪駆動を必要とする自然の近くで暮らす人。動的な特徴も、レガシィとは異なる。

スバル・レガシィ・ツーリングワゴン GT-B(3代目/1998〜2003年/並行輸入仕様)
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン GT-B(3代目/1998〜2003年/並行輸入仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ツーリングワゴン GT-Bに搭載されるのは、2.0Lの水平対向4気筒ツインターボエンジン。5速MTと、同社自慢のシンメトリカル四輪駆動システムを介して、4本のタイヤへふんだんなパワーが伝えられる。

新しいアウトバックにも水平対向4気筒とシンメトリカル四輪駆動は載るが、自然吸気の2.5L。英国仕様の最高出力は169psで、CVTが組み合わされている。エキサイティングな走りを、期待させるものとはいえない。

見た目も、最低地上高を持ち上げたサスペンションに、フェンダーモールとルーフレールが与えられ、アウトドア感が強い。ボンネットにインタークーラー用エアインテークが開けられた、ツーリングワゴン GT-Bとは違うテイストにある。

スペースとスピード、ハンサムな顔立ち

「スペースとスピード、ハンサムな顔立ち」は、1989年に初代スバルが掲げたレシピ。ハイエンドな仕様は北米市場でヒットし、アウトバックも含めて、顧客満足度では独走状態にあった。

同じ時期に、スバルはスバル・テクニカ・インターナショナル(STi)を設立。レガシィで積極的にWRCへ挑み始め、そのイメージを借りた派生仕様が数多生み出された。整理が難しいほど。

ホワイトのスバル・レガシィ・ツーリングワゴン GT-Bと、ブラウンのスバル・アウトバック 2.5i フィールド
ホワイトのスバル・レガシィ・ツーリングワゴン GT-Bと、ブラウンのスバル・アウトバック 2.5i フィールド    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

高性能なツーリングワゴン GT-Bも、その1つ。ただし、オーナーのダレン・ペイシェント氏は、グランツーリスモの中と同レベルの驚きは、期待しないで欲しいと話す。

彼はレガシィへ夢中だが、「インプレッサのようには、コーナリングしませんよ」。とスポーツシートへ座った筆者へ声をかける。確かに、少し高級志向にあったモデルだ。

とはいえ、ペイシェントの心配は杞憂だった。キーを捻った瞬間、懐かしい水平対向エンジンのビートが打たれ始める。軽くブリッピングすると、ウヴァー、ウヴァーと、気温の低い早朝の空気と、筆者の心を震わせる。

先に写真撮影を終わらせていたから、既にエンジンは暖気済み。路肩の駐車場を出発すると、気持ち良い直線が伸びている。

ターボラグを減らすべく、バンク角の内側へターボを配置したホットVや、マイルド・ハイブリッドが登場する以前のユニットだ。1990年代後半のツインターボは、低域ではそこまで活発ではない。

積極的にエンジンは吹け上がる。だが、即座に2基のタービンが回転し、ロケットダッシュが始まるわけではない。

この続きは、3代目レガシィ・ツーリングワゴン(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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