無双状態が始まる4000rpm 3代目レガシィ・ツーリングワゴン(2) 現行アウトバックと比較試乗

公開 : 2025.03.29 09:46

スバルのアイコンの1台、レガシィが生産終了 水平対向4気筒にシンメトリカル四輪駆動 最もパワフルな仕様でも中古車はお手頃 現在のアウトバックへ通じる魅力 英編集部が2台を比較

無双状態が始まる4000rpm 印象的な快適性

スバルレガシィ・ツーリングワゴン GT-Bは、4000rpm辺りから本域が始まる。水平対向4気筒エンジンから、溢れんばかりのパワーが湧いてくる。その領域へ踏み込めば、無双状態といっていい。

速度は瞬く間に上昇し、5速より上のギアが欲しくなる。コーナーの手前で減速。ブレーキは頼もしく、旋回する自信を高めてくれる。小ぶりなペダルの配置は、ヒール&トウにもぴったりだ。

スバル・レガシィ・ツーリングワゴン GT-B(3代目/1998〜2003年/並行輸入仕様)
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン GT-B(3代目/1998〜2003年/並行輸入仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ただし、ドライバーへ積極的な運転を常に要求してくるわけではない。GT-Bの「B」は、ビルシュタインの頭文字。ダンパーは畏敬の念を抱きたくなるほど、見事な仕事を披露する。

乗り心地と操縦性のバランスは秀抜。これほど巧妙に両立させたモデルを、筆者は殆ど知らない。意欲的にカーブへ突っ込んでも、ボディロールは最小限。シャシーの反応はドライバーの入力へ忠実で、不意の隆起部分を通過しても、落ち着きを乱さない。

ステアリングの重量感も好ましい。車内のノイズは小さくないが、荒々しいわけではない。より突き詰めた内容で、能力を磨いたことの証といえる。

インプレッサのように気持ちを高ぶらせることはなくても、走りへ惹きつけられる。天候を問わない許容力も頼もしい。仮に競争させたとして、最新のフォルクスワーゲン・ゴルフ R エステートが、大差で勝つようには思えない。

内装は時代を感じさせるデザインだが、充分に洗練され造形も整っている。フレームレスドアも、うれしいポイントの1つだろう。

存在感は薄めでも技術的な信頼性が強み

転じてアウトバックの第一印象は、見た目のままだが、クロスオーバーだな、ということ。スバルは、1995年の初代からトレンドをリードしてきたと主張するが、現在は存在感が薄いことは否めない。

ファミリー・クロスオーバーを検討する時、アウトバックが候補へ含まれる割合いは高くないだろう。とはいえ、スバル好きの英国人の忠誠心は強い。2024年にも、1日平均で2台が納車されている。

スバル・アウトバック 2.5i フィールド(英国仕様)
スバル・アウトバック 2.5i フィールド(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

カーブでは、左右のロールや前後のピッチが小さくなく、一定の速度を保つには努力も必要になる。CVTは、アクセルペダルを踏み込むと、リニア感薄く自然吸気エンジンの回転数を高める。だが、これらはすぐに馴染める範囲といえる。

アウトバックは、伝統的な技術と新しい技術が、巧みに融合している。運転支援システムのアイサイトは、他社や規定に先駆けて、10年以上前から導入されてきた。

インフォテインメント用タッチモニターの、ダッシュボードへの収まりも良い。ツーリングワゴン GT-Bのオーナー、ダレン・ペイシェント氏は、タブレットを後付けしたように見えないのが良いと口にする。筆者も同感だ。

ドイツのメーカーは、伝統的に高度な技術力を強みとしてきたが、技術的な信頼性はスバルが強みとするところ。恐らく数10年後でも、アウトバックは好調に走れるだろう。英国価格は3万7995ポンド(約741万円)からと、お買い得感も高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

3代目レガシィ・ツーリングワゴンの前後関係

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