究極のモダン・アウディ S8 クワトロへ試乗 予見的に制御されるエアサス 容姿を裏切る速さ

公開 : 2025.03.29 19:05

V8ツインターボに四輪駆動を組み合わせたS8 予見的に制御されるエアサス 非の打ち所がない車内 落ち着いた容姿を裏切る速さ 唸らされる操縦性 究極のモダン・アウディだと英編集部は評価

4.0L V8ツインターボ・マイルドHVに四輪駆動

アウディA8の販売数の内、英国では20%をS8が占めるとか。ただし、落ち着いた容姿のリムジンは、運転するクルマではなく、運転してもらうクルマだとみなされているように思う。

S8は、黒いサルーンが並ぶ駐車場で、他との違いへ密かに喜ぶ重役が選ぶA8なのかもしれない。高度な技術を楽しみつつ、高性能だとはご近所に気付かれたくない、税理士や弁護士が乗るアウディともいえるだろう。

アウディS8 クワトロ・ブラックエディション(英国仕様)
アウディS8 クワトロ・ブラックエディション(英国仕様)

それでも、S8の能力の幅は極めて広い。ドライバーにも高い充足度を与える、魅力的なサルーンへ仕上がっている。

現行型は、2020年に登場した4代目A8の強化版。エンジンは4.0L V8ツインターボガソリンのマイルド・ハイブリッドで、トップクラスの洗練性と動力性能、高級感を実現している。それでいて、控え目なボディをまとうことも特徴になっている。

最大トルクは81.4kg-mと、3代目S8より5.1kg-m高い。571psの最高出力は、34ps低いけれど。マニュアルモード付きの8速ATと、四輪駆動システムのクワトロが、この大エネルギーを受け止める。

片バンクのシリンダーを休止させ、効率を高めるシリンダー・オンデマンドを実装。ベルト駆動のスターター・ジェネレーター(ISG)は、最大8kWの電気をリチウムイオン・バッテリーへ送れるという。

機械式センターデフだけでなく、S8にはアクティブ・リアデフも組まれる。低速域では前輪と逆向きに、高速域では同じ向きにリアタイヤが制御される、後輪操舵システムも標準だ。

予見的に制御されるエアサス 非の打ち所がない車内

サスペンションは、アウディがプレディクティブ・アクティブと名付けた逸品。前方を監視するカメラと、高速なアクチュエーターが連動し、個別にエアスプリングを予見的に制御する。ドライブモードによって、その特性は変化もする。

コンフォート+モードでは、カーブでボディを傾け遠心力を吸収。ダイナミック・モードでは、スチールコイルと比較し、ボディロールは半分にまで抑えられるという。

アウディS8 クワトロ・ブラックエディション(英国仕様)
アウディS8 クワトロ・ブラックエディション(英国仕様)

ドアを開くと、乗降性を良くするため、車高がスッと上がる。驚くほど高速に。乗り込んでドアを閉めると、通常の高さへ戻る。優れた技術を実感させる、小ワザといえる。

インテリアは、カーボンファイバーとアルミニウムのさりげない化粧トリムなどで、A8以上のスポーティ感が醸し出されている。素材はくまなく上質で、実際に押せるハードスイッチが沢山並び、改善したい部分は見つからない。

最新世代と比べると少し旧式かもしれないが、インフォテインメント用タッチモニターは10.1インチ。ステアリングホイールはマルチファンクションで、メーター用モニターもクリア。スポーツシートはサポート性が高く、第一級の運転環境だと表現できる。

インフォテインメントは、MMI。個別のコントローラーはなく、タッチモニターだけの入力で操作性に優れるわけではないが、ショートカットキーは用意されている。

ショートホイールベースのみの設定でも、ヒーター内臓のリアシート側は広々。上級リムジンらしく、独立したモニターが用意される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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