メルセデス・ベンツ新型『CLA』発表 EVは航続距離792km、ハイブリッドも「ディーゼル並み」の低燃費へ

公開 : 2025.03.15 06:45

メルセデス・ベンツは第3世代となる新型『CLA』を正式発表しました。EVモデルも初めて登場し、優れた空力設計と高効率モーターにより市販最長クラスの航続距離を実現。価格はハイブリッドモデルと同等になるとのこと。

第3世代CLAが登場、初のEVモデルも

メルセデス・ベンツは3月14日、新型『CLA』のEVモデルとハイブリッドモデルを欧州で発表した。今年後半に発売される予定で、EVモデルは効率性の高さを特徴とし、欧州最長の航続距離を誇る。

『CLA 250+ with EQテクノロジー』は、充電1回あたりの航続距離が欧州WLTPサイクルで最大792kmに達し、高速道路での走行に限定しても約690kmを走行できるとされている。

メルセデス・ベンツCLA
メルセデス・ベンツCLA    メルセデス・ベンツ

現在は認証取得待ちの状態だが、これは欧州で販売されている他のEVを凌駕する性能だ。実際、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルであるEQS 450+は118kWhのバッテリーで774kmの走行が可能だが、新型CLAはこれをも上回っている。

この驚異的な航続距離は、エネルギー消費を最小限に抑えるという開発陣の努力の賜物である。搭載されているのはニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーで、その容量は85kWhだ。

つまり、CLAは8km/kWhを超える高効率を達成していることになる。これは、多くのメーカーが次世代EVの目標ラインと捉えている数値である。

パワフルかつ高効率

CLAの優れた航続距離は、その空力設計によるところが大きい。ボディサイズは全長4723mm、全幅1855mm、全高1468mmと、現行型よりも大型化(長さ35mm、幅25mm、高さ22mm増加)しているにもかかわらず、前面投影面積を最小限に抑え、空気の流れをスムーズにするために多くの工夫が凝らされている。

例えば、車輪は現行型よりもホイールアーチの内側に配置されている。フロントバンパーの小さな吸気口(と対応するリアの排気口)が、ボディの隅の空気の流れをガイドし、アルミホイールもフラッシュフェイスデザインにより乱れを比較的抑えている。

メルセデス・ベンツCLA
メルセデス・ベンツCLA    メルセデス・ベンツ

こうした工夫の結果、空気抵抗係数(Cd値)は0.21となり、EQS(0.20)よりわずかに大きいが、テスラモデル3(0.22)よりも優れている。

新しいリアマウントの永久磁石モーターも、効率性において重要な役割を果たしている。コンパクトなパッケージで高出力を実現し、軽量なシリコンカーバイドインバーターを使用している。また、磁石をダブルV字型に配置して磁場を集中させたことで、トルク密度が向上したという。

さらに、このモーターには、通常の1段の減速ギアではなく、ポルシェタイカンと同様の2段トランスミッションが搭載されている。1段目のギア比は短く(11:1)、市街地走行での効率性と発進加速力を高めたものとなっており、2段目のギア比はかなり長く(5:1)、高速巡航時のエネルギー消費を抑えている。

CLA 250+は最高出力272psを発生し、0-100km/h加速は6.7秒とされる。

四輪駆動の『CLA 350 4マティック with EQテクノロジー』では、フロントアクスルに1段ギア付きの108psのモーターを追加し、合計出力は354psとなる。これにより、0-100km/h加速は4.9秒に短縮され、20年前のV8エンジン搭載のC 55 AMGよりも直線では速くなった。

フロントモーターは、パワーの必要のない時にはアクスルから切り離され、摩擦によるエネルギー損失を90%削減する。これにより、四輪駆動のCLAは1回の充電で最大771kmの走行が可能となる。他のEVと比較しても、後輪駆動バージョンとの差は小さい。

ブレーキは主にモーターの回生効果(最大200kWの制動力を実現)に頼っており、バッテリーの充電残量を維持する。

CLAは800Vの電気アーキテクチャーにより、最大320kWの急速充電が可能であり、わずか10分の充電で325kmを走行できる。

85kWhのバッテリーに加え、発売後まもなく58kWhのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーがラインナップに追加される予定だ。価格は大幅に引き下げられる可能性が高いが、航続距離は約480kmに短縮されることになる。

また、AUTOCARの取材では、高性能モデルのAMG CLA 45も登場することが明らかになっている。英国企業ヤサ(Yasa)が開発した2基の軸流モーターで500ps以上の出力を発揮し、シャシーにも改良が施される見込みだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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