【空と陸の境界線を越えて共創活動中】レクサス・パスファインダー・レーシングが東京・日比谷で展示イベント開催!

公開 : 2025.03.17 11:25

レクサスとエアレースの技術的な関係

では、なぜレクサスがエアレースのチーム活動に参加しているのか。LPARの中江雄亮テクニカルコーディネーターと、堤稔コマーシャルダイレクターに話を伺った。

そもそもはトヨタの現社長である佐藤恒治氏の発案だったそうだが、クルマ技術も成熟期を迎え、今後は違う角度(目線)から技術革新を考えることが必要だというポイントから、エアレースに白羽の矢が立つ。そして技術だけでなく、エアレースにかける人たちの熱き思いをプラスして人を育てることで、クルマだけでなく今後のモビリティの技術革新を図るという目的で、LPARが生まれた。

中江雄亮テクニカルコーディネーターと、堤稔コマーシャルダイレクターに話を伺った。
中江雄亮テクニカルコーディネーターと、堤稔コマーシャルダイレクターに話を伺った。    篠原政明

レクサスの技術で室屋選手の機体も進化している。32%縮尺の機体模型を作り、風洞実験を行って、エンジンカウルやウイングレット(主翼両端部分)の形状を決定。エアレースの機体は、エンジンやプロペラなどは規則で変更できないが、機体の改良はチーム独自で行えるため、こうした細かな変更を積み重ねている。

エアレースの機体は操縦桿のほんのわずかな動きで姿勢が変化できるため、筋電センサーで飛行中の筋肉の動きを計測し、理想的なシート形状を作ることで操縦姿勢を安定させ、それもタイムアップにつなげていく。

さらに、400km/hで12Gという過酷な状況でも瞬時に情報を正確に読み取れるHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)の開発など、まさにエアレースは究極の実証実験場といえるだろう。

もちろん、これらの技術がそのまま市販車に活かされるわけではないが、将来的には活用できる可能性が高いものは多い。前述のRZ450e特別仕様車のように、エアレースからのフィードバックで開発されたエアロパーツを装着した例もある。

クルマの技術が進化するほど、普通のクルマでは試せない領域の技術を開発するには、エアレースのような極限状態のデータは有効だろう。それはF1などモータースポーツからのフィードバックとも似ている。

レクサスは次世代のための技術作りや人作りを、LPARを通しても行い、新たなクルマやモビリティに反映させていくという。そんなレクサスとともに2025年シーズンもエアレース Xに参戦する、LPARと室屋選手の活躍に期待したい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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