トヨタのEV、既存モデルから「馴染みのある」名称を採用 『bZ』から脱却へ

公開 : 2025.03.18 07:45

トヨタは『bZ』というネーミングから離れ、今後発売するEVモデルには「おなじみ」の名称を採用する方針です。現行車やかつて販売していたモデルと歩調を合わせ、EV販売のテコ入れを図ります。

EV販売を強化する狙い

トヨタは、今後発売するEVモデルに「馴染みのある」名称を使用していく方針だ。bZ4Xから始まった英数字の命名戦略から脱却する。

bZ4Xは、トヨタ初のEVとして2022年に登場したミドルサイズの電動SUVだ。車名の「bZ」は「Beyond Zero(CO2ゼロを超えた価値)」、「4」はトヨタの用語で車両サイズを表し、「X」はクロスオーバーであることを意味する。

12日発表の新型EVでは『C-HR+』という名称が採用された。
12日発表の新型EVでは『C-HR+』という名称が採用された。

しかし、3月12日に開催された年次イベント「ケンシキ・フォーラム」でAUTOCARの取材に応じた製品・マーケティング担当のアンドレア・カルッチ氏は、今後発売されるEVの名称は、顧客にとって「馴染みのある(familiar)」、「現行車(current cars)」から選ばれると語った。

同日発表された新型『C-HR+』(欧州で販売中の第2世代CH-Rとは構造的には無関係)と同様に、トヨタは既存の名称を活用し、特に欧州でのEV販売を促進しようとしている。

欧州向けのEVのエントリーモデル『アーバンクルーザー』では、2000年代後半までクロスオーバー車で使用されていた名称を復活させた。

トヨタはEV専用の命名戦略「bZ」から離れることになったが、こうした動きはホンダ(e:Ny)やメルセデス・ベンツ(EQ)など他のブランドでも見られる。

ただし、bZ4Xの名称を変更する予定はない。カルッチ氏はAUTOCARの取材に対し、名称を変更すると顧客が「混乱する」ため、トヨタのラインナップの中で「少し孤立した存在」になるだろうと語った。

現在販売されているbZシリーズは、bZ4Xの他に中国市場向けのbZ3XとbZ3Cのみである。

ハイラックスカローラも?

2026年末までにグローバルで発売予定の3車種の新型EVにも、「おなじみ」の名称が与えられる。

シルエットの予告画像から、この3車種はピックアップトラック、ファストバック、SUVとなるようだ。

トヨタは2026年までに3車種のEVを投入する。
トヨタは2026年までに3車種のEVを投入する。    トヨタ

ピックアップトラックの名称としては『ハイラックス』が有力候補だが、SUVは2023年公開のコンセプトモデル『ランドクルーザーSe』の市販バージョンである可能性もある。

カルッチ氏は、カローラという名称もEVに使えるかもしれないと示唆したが、「まだ決まったわけではありません」と述べた。

今回の命名戦略の変更は、「欧州からの明確な要望が日本に届き、それを聞き入れた結果」であると、カルッチ氏は語っている。

「トヨタは数多くのモデルを用意しています。技術やセグメントを掛け合わせると、車名が過剰に増えてしまいます。わたし達はこれを合理化したいと考えました」

同氏はさらに、「消費者の利便性を考慮し、車名のインフレを避けたい」と付け加えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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