【なぜこのタイミング?】マツダが電動化や『ものづくり』の進捗を力説!2027年『CX-5』ハイブリッド導入も確定

公開 : 2025.03.21 06:05

電動化では生産、調達コストを大幅圧縮

次に、中国でのEV専用車とは、マツダが中国で長年パートナーとしている長安汽車の電動化技術にマツダの知見を融合させ、2024年に市場導入したセダンの『EZ-6』に次ぐ、クロスオーバーSUVのことだ。

そして2027年には日本を含めたグローバルモデルとして、マツダが自社開発するEVを導入することを明らかにした。EVの生産については、他の自動車メーカーが行うようなEV専用工場を用意せず、既存の混流ラインを活用する。これにより、初期設備投資は、バッテリー専用工場を新設する場合に比べて85%と、大幅に低減する。

少ない資産を有効活用する『ライトアセット戦略』を説明する毛籠勝弘社長。
少ない資産を有効活用する『ライトアセット戦略』を説明する毛籠勝弘社長。    桃田健史

世の中の流れで刻々と変化する中でEV需要の先読みが難しいが、既存混流ラインを使うことで量産準備機関を80%低減することもできる。また、自前の電池工場としてパナソニックエナジーと共同で設立する岩国新工場に加えて、車載制御、先進運転支援システム、さらにハイブリッドなどでの電動パワートレインについてトヨタ、デンソー、そしてトヨタ、デンソー、アイシンの合弁企業であるブルーイーネクサスを含めた協業を強化する。

すでに、マツダ独自のEV開発車両として、CX-5の外観をした試験車両があり、雪上テストする模様は今回初公開された。こうした一連の企業活動を、マツダは少ない資産を有効活用する『ライトアセット戦略』と呼ぶ。また、2000年代から脈々と進化させていった、MBD(モデルベース開発)を軸とする『マツダものづくり革新2.0』との合せ技でもある。

マツダは、広島という地域社会からの地域産業の維持と成長に対する期待を背負うだけではなく、重大な変化局面に直面している日本自動車産業界における突破口に成り得るはず。今回、マツダ幹部らの話を約3時間じっくり聞いて、そう感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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