メルセデス-AMG C63 S
公開 : 2015.02.25 23:40 更新 : 2021.01.30 21:38
■どんなクルマ?
”現行のBMW M3と対等もしくはそれ以上のクルマ” というのが、最新のメルセデス AMG C63にとって、最も適切な表現だろう。
ここ最近のAMGのマーケティング戦略と照らし合わせると、C63にも標準モデルと ’S’ モデルが用意されるのはほとんど確定している。後者はよりパワフルなエンジンを授かることになるだろう。
英国におけるデリバリー開始時期はサルーン/エステートが今年の3月を予定。2016年初旬には、クーペ/カブリオレがラインナップに追加されることになるはずだ。
基準となる5世代目Cクラスと差別化を図るために、写真のように、AMGの他モデルと共通するデザイン言語が適合されている。生産はドイツはブレーメンにあるメルセデスの保有する工場内で行われる。
大きく口を開けたエア・ダクトをもつフロント・バンパーや専用グリル、サイドからリアへ続く勇ましいスポイラーはAMGの証。側面に貼られた ’V8 Biturbo’ の文字が華を添える。
リア・バンパーからは左右それぞれ2本の銀色に輝くテール・パイプが堂々と突き出し、C63 Sには ―さほど激しくはないけれど― デッキ・スポイラーが設えられている。
先代のC63が搭載していた6.2ℓ V8マルチ-ポイント・インジェクション自然吸気ユニットは、4.0ℓ V8直噴ツインターボに置きかわった。基本的にはAMG-GTのそれと同じであるが、こちらはドライサンプではない。
最高出力は476ps/5500rpm、最大トルクは65.0kg-m/1750rpm。排気量こそ先代よりも小さくなったものの、実に18psと5.1kg-mのパワー増強を果たしている。
ターボチャージャーのブースト圧を変更し、よりパワーを引き出すことのできるモードにすると、ここから更に出力が高まる。その結果、510ps/5500rpmと71.3kg-m/1750rpmという大出力を得ることが可能だ。
先代のC63パフォーマンス・パッケージ比+23psと+10.2kg-mという値を、目で見るだけでも高揚を覚えずにはいられない。さらにエディション507よりも3psと9.1kg-m大きいというのだから驚きである。
3.0ℓ直列6気筒ツインターボを載せた、現行のBMW M3が発揮する431psと56.0kg-m、4.2ℓ V8自然吸気ユニットを載せたアウディRS4アバントが発揮する450psと43.8kg-mという数値も参考までに。
乾燥重量は先代から15kgの減量を果たし1640kgをマーク。出力重量比は14ps/トン向上し、272ps/トンを得るに至った。C63 Sは先代から変わらぬ1655kgであるが、出力重量比は同じく14ps/トン向上の308ps/トンとなる。
大出力を後輪に伝えるのは、AMG製7速スピードシフトAT。メルセデス標準の7速ATがベースとなり、AMGモデル用にプログラムされたC(効率優先)/M(マニュアル)/S(スポーツ)/S+(スポーツ・プラス)の4モードが用意される。C63 SはR(レース)モードも選ぶことができる。
AMG-GTと同じく、機械式ディファレンシャルが標準で装備。C63 Sになると、電制ディファレンシャルに置き換わる。AMGいわく、レスポンスが更に高まり、路面状況問わず最適なトラクションを得られるのだそう。
ここ最近の系譜では、4WDを意味する4マティックがラインナップに追加されるはずだが、現行のC63では今のところそのような情報は入ってきていない。今のところ、であるけれど……。
サスペンションは標準のCクラスの改良版。といってもニュルブルクリンクでかなりの ’シゴキ’ を受けた本気仕様なのは言うまでもない。
フロントのトレッドは31mmワイドになった1609mm、新式のホイル・ベアリングのおかげでかなりのネガティブ・キャンバーになっている。スタビライザーの径は大きくなり、ブッシュも専用設計を採る。
車高は25mm下げられ、スプリングやダンパーも引き締められている。また、全車にAMGスポーツ・ライド・コントロール・システムを標準装備。コンフォート/スポーツ/スポーツ・プラスの3種から切り替え可能だ。
C63には10本スポークの18インチ・アロイ・ホイール。C63 Sには5本スポークの19インチ・ホイールが組み合わせられる。